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抗インフルエンザ剤感受性低下株調査の公開を始めました。

2019年12月27日より、抗インフルエンザ剤感受性低下株調査について、HPでアップ開始しました。

バロキサビルやオセルタミビル・ペラミビルに感受性が低下したインフルエンザの頻度を調べるものです。
http://www.med.niigata-u.ac.jp/pub/category/influenzasearch/

 

2018年にバロキサビルが発売されてからバロキサビル感受性低下株(いわゆるゾフルーザ耐性株)が医学会の注目を集めています。
PA蛋白の変異によって感受性の低下がみられ、最も代表的な変異はPA/I38Tです。

昨シーズン当教室の調査で、A/H3N2で、バロキサビル感受性低株が投与後に10~40%出現することがわかりました。
同時に、A/H3N2では、バロキサビル感受性低株が、家族や学校で感染を起こしたことが判明しました。
しかしながら、投与前の頻度でみると1~5%でしたので、伝播力はまだ限定的と思われます。

その一方でA/H1N1pdom09は、投与前の検体から検出はされませんでした(0%)。
投与後には、バロキサビル感受性低株が出現していました(10~20%)、
つまり、A/H1N1pdom09では、バロキサビルを飲んだ人からは一定程度変異株が出現するが、人から人へはうつらないことを示唆しています。

 

メディアではあたかも、今年もゾフルーザ耐性株がどんどん広がっているような報道も散見します。
このため、実際に本当に変異株が広がっているのか調べるのが本調査の大きな目的です。

A/H1N1pdm09を解析したところ、2019年12月27日時点で、バロキサビル感受性低下株は、検出されませんでした(0%)。

同じ検体をつかって、オセルタミビル・ペラミビルに感受性が低下するNA/H275Y変異株を検出したところ、1件(5%)みつかりました。
この症例は、オセルタミビルの治療は受けていないのに、NA/H275Y変異株が検出されました。

要は、オセルタミビル・ペラミビル耐性株も、伝播感染すると言うことです。
しかし、バロキサビルと同様に限定的な感染に留まっています。

バロキサビルだけでなく、オセルタミビル・ペラミビル耐性株についてもその頻度を見ていくことが大事です。

 

この調査の第二の目的は、バロキサビル投与後にどのくらいPA変異株が出現するか、そして変異株がみられた際にどのくらい臨床症状に影響があるか、ということです。
こちらについては、今後解析結果を公表していきます。

今後定期的なアップを予定しております。

2019-12-27 | Posted in What’s New, ブログ|BlogComments Closed