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2024年3月1日~2025年3月27日 RSウイルス全国調査の結果

2024年3月から2025年3月27日までの期間に、日本各地でのRSウイルス(RSV)の流行状況について調査を行いました。全国9道府県の外来医療機関にご協力いただき、RSウイルス感染症が疑われる患者から鼻腔拭い液や鼻汁などを採取しました。新潟大学に輸送後、RSウイルスの検出と型判定をリアルタイムPCR法を用いて行いました。さらに、全ゲノム解析については、次世代シーケンサーを用いて実施いたしました。

【検体採取状況】

2024年3月1日から2025年3月27日までに、全国から134件の検体が収集されました。そのうち128件の初診時検体についてリアルタイムPCRを実施しました。サブタイピングの結果、A型は54件(42.0%)、B型は35件(27.0%)、陰性は39件(30.0%)でした。(表1)

【地域別RSウイルス流行型】

サブタイピング結果に基づき、地域別の流行型を示す分布図を作成しました。(図1)

A型が優勢な地域は北海道、新潟、滋賀、山口で、B型が優勢な地域は愛媛でした。沖縄ではA型とB型両方が見られました。

【疫学曲線】

国立感染症研究所の5類定点発生動向調査報告数とサブタイピング結果をもとに、月ごとの疫学曲線を作成しました(図2)。

例年、RSウイルスの流行は夏から秋にかけて集中し、冬には終息する傾向がありますが、今回は2025年1月~3月にも陽性例が確認されました。

2022年は主にA型、2023年は主にB型が流行しましたが、今シーズンはA型とB型の両方が見られました。地域によって型の比率に違いがあったのが特徴的でした。

【RSウイルスの全ゲノム解析】

次世代シーケンサーを使った全ゲノム解析と系統樹解析を行いました。

A型では、A.D.1、A.D.1.4、A.D.3、A.D.5.1、A.D.5.2のクレードが検出され、明確な季節性や地域性は見られませんでした。(図3)

B型では、B.D.4.1.1とB.D.E.1のクレードが検出され、主にB.D.E.1が流行していました。(図4)

2025-04-02 | Posted in What’s New, ブログ|BlogComments Closed