新潟県新潟市中央区旭町通一番町
TEL 025-368-9026 FAX 025-368-9300
内分泌・代謝内科分野、血液内科分野【外来電話番号】025-227-2534
e-mail emh@med.niigata-u.ac.jp
私達の教室では、研究(や学位取得)は「義務」でも「強制」でもありません。 心からやりたいと思った人がやる“人助けにつながる知的活動”であり“イマジネーションと活力の源”です(部活動に近いかもしれません)。 テーマについても「自分でやりたいことを決める」のが基本です。 昔の大学医局のように「教授が一方的にテーマを割り振って、好きでもないのに無理にやらせて医学博士をとらせる」というイメージは、 自由で楽しくあるべき研究に対して、我々が最も嫌うことです。
私達の教室の研究プロジェクトは、「血液内科分野/内分泌・代謝内科分野」あるいは「基礎研究/臨床研究」といった旧い区分に捉われずに組まれます。 各プロジェクトの内容や担当メンバーも固定されたものでなく、プロジェクト同士が交差するところに、 新しいエキサイティングなテーマが見出されることもよくあります。私達は、常に柔軟で自由な発想で次世代サイエンスに意欲的にチャレンジしています。
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現代医療のスタンダード「科学的根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine)」を支える臨床エビデンスを生み出すためのコホート研究や臨床試験は、医学研究の中心分野の一つです。 そのような古典的手法に加え、近年では「医療ビッグデータ」とICTを駆使した様々な研究(「医療ビッグデータサイエンス」)が世界的に注目を集めています。
医療・医学の世界はデータであふれています。 医療・保健分野の日常業務では、多くのビッグデータベース、 たとえば職場検診や人間ドック、学校健診、電子カルテ、診療報酬請求(いわゆるレセプト)、介護保険関連書類などが自動的に生成・蓄積されます。 さらにこれまでの医学研究の成果である膨大な学術論文データベースやゲノムデータなども医療ビッグデータの一部です。
近年のICT技術の急速な進歩により、厳密な個人情報保護を施したこれら既存の医療ビッグデータ、あるいはそれらを連結したさらに巨大なデータベースの解析が可能になり、 実地診療、診療ガイドライン作成、医療健康政策立案や予防保健活動の現場に役立つ科学的エビデンスを効率的に生み出す研究ができるようになりました。 従来の手法では生み出すことが難しい、あるいは長い期間や巨額の費用を要した研究結果が、あっという間に得られることも珍しくありません。
バイオインフォマティクスとの融合や人工知能(AI)の活用も始めており、 ゲノム情報と生活習慣情報とを合わせた個人別の疾患発症や予後予測なども含む「精密医療」や「先制医療」なども可能になりつつあります。
また既存の膨大な医学論文データベースから、科学的に質の高いものを選別し、 専門的技法により統合解析するメタアナリシスにも長年取り組んでいますが、新手法が開発されるエキサイティングな分野です。
当教室は、全国の病医院、地方自治体、検診機関、ハイテク企業および本学「ビッグデータアクティベーション研究センター」などとのコラボレーションにより、 オーソドックスなコホート研究、臨床試験から未来の実験的手法を含む、医療ビッグデータサイエンス(大規模臨床研究)の幅広い分野において大きな成果を生み出し続けており、 この分野の国内外の拠点の一つとして注目されています。
たとえば、次のような多彩な最先端研究が展開されています。
他大学(卒業学部や医療資格の有無を問わず)、企業などから大学院に入学(現在の勤務を継続しながらの社会人入学が可能) される方も多く、短期間(博士課程最短3年)での学位取得も可能です。 共同研究、持ち込みデータの共同解析なども大歓迎ですのでぜひご相談ください。
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基礎研究も臨床研究も経験希望で、自分の研究成果を患者さんの診断・治療に直接活かしたいと思う方に向いているプロジェクトです。 腫瘍のうちでも、悪性リンパ腫を含むリンパ性腫瘍は極めて多種に及びますが、なぜ腫瘍が発症するかのメカニズム解明に興味がある方も歓迎します。
現在、過去20年に当科で診断した悪性リンパ腫1000例以上を対象に臨床病理学的解析を行っており、血液病理で有名な久留米大学病理学 大島孝一教授の教室と共同で、 生検検体に正確かつ詳細な病理診断をつけつつ、臨床情報、フローサイトメトリー解析、染色体・FISH解析、遺伝子解析結果などと合わせて、発症要因や予後因子の解析同定を行っております。
また当教室には、慢性リンパ性白血病(CLL)の国内多施設共同研究の事務局も設置され、ウイーン大学との国際共同研究も行っています。 わが国で多数のCLL患者を集積した検討はなされていないため、欧米人患者データとの比較によりCLLの発症機序が明らかになることが期待されており、 海外からも研究成果が注目されています。
さらにCLLも含めたリンパ性腫瘍に対する新規薬剤の開発治験・新規治療法の臨床研究や、多くの新規治療薬が開発され、患者さんの予後改善が著しい多発性骨髄腫についても、 下記のように多施設治療開発研究が多数実施されており、最新の治療を患者さんに提供しています。
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白血病のうちでも慢性骨髄性白血病や急性前骨髄性白血病は、分子標的治療薬の登場により「治る疾患」になりつつありますが、 多くの白血病は化学療法と同種造血細胞移植を組み合わせた集学的治療が必要です。 これらの治療成績を向上させるためには、化学療法による寛解導入率の向上、より良い造血細胞移植法の選択、 移植後の効果的な免疫調節が重要で個々の症例についてハーモナイズされた包括的な治療戦略が必要です。
私達は各治療フェーズの課題について、下記に紹介する細胞レベルの研究、マウスを用いた研究、患者さんの病態解析研究、多施設臨床治療研究、 大規模臨床データの臨床統計研究により、患者さんのトータルな予後向上を目指しています。 いずれの研究も、白血病に苦しむ患者さんを救いたいという根本的な願いと目的は共通です。 多くの皆さんに加わっていただくことを期待しています。
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これまで細胞外基質(Extracellular matrix; ECM)は、単なる細胞接着の支持組織として考えられてきました。 しかし近年、細胞への増殖因子・サイトカインの保持・供給など多様な分子間相互作用を介して、生体の成長や恒常性維持に重要な役割を担っていることが判明しています。
たとえば共同研究者の新潟大学医学部 神経生化学教室の五十嵐道弘教授は、 特定のECM合成酵素のノックアウトマウス(≒特定のECMだけを減少させたマウス)が、 本来治らないはずの脊髄損傷に対し著しい神経再生・回復能を有していることを報告しました。
そのような最近の状況下で、私達は、血液・内分泌・代謝疾患に対するECMの新たな生理的・病態的意義を追求しております。 血液分野、内分泌代謝分野とも非常に興味深い結果が得られ、現在その詳細なメカニズムを解明すべく研究を進めています。
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慢性炎症は腫瘍、自己免疫性疾患、メタボリックシンドローム、動脈硬化症など多くの疾患と関連し、血液学、内分泌代謝学の両分野にまたがる研究分野です。 SOCS(suppressors of cytokine signaling)ファミリーは慢性炎症の抑制性サイトカインとして発見され、慢性炎症を克服するための主要標的の一つです。 Walter & Eliza Hall Institute of Medical ResearchはSOCS研究の世界的メッカであり、血液・代謝・内分泌疾患に関して当教室と共同研究を進めています。
SOCSにはCISおよびSOCS1~7の8つのファミリー蛋白が知られています。
個々のSOCS familyについてはノックアウトマウスの作成により、それぞれの役割が急速に解明されてきています。
しかし生体内において各々のSOCSファミリーがどのように関連し合って働いているかは現在も不明瞭です。
このファミリー間の相互作用は、遺伝子のダブルノックアウトマウスを作成することで可能となります。
これまでSOCS1とSOCS3のダブルノックアウトマウスを作成し、解析することでこれらの生体内における相互作用を明らかにしました(PLoS One, 2016)。
1995年のCISの発見以後、研究手法にも大きな技術革新があり、免疫学の概念も当時とは大きく変化しました。
当時と比べてNK細胞の概念も確立が進み、免疫反応を制御するregulatory cellの概念もCD4細胞のみならずCD8 T細胞やB細胞まで拡大して来ています。
これらの免疫細胞もSOCSファミリーと関与する可能性があり、研究の進展が期待されています。
近年グループからCISががん免疫に大きく関与することを報告しました(Nature Immunology, 2016)。
CISは従来、赤血球造血因子であるエリスロポエチンの抑制因子として知られてきましたが、CISノックアウトマウスではNK細胞のIL-15シグナルを介して抗腫瘍効果が飛躍的に高まっており、この研究はCISの発見から20年以上を経てその概念を大きく変えました。
また、NK細胞の分化段階においてもSOCS3が大きく関わっていることも明らかになりました(Immunity, 2016)。
免疫学的な基礎研究と並行して、慢性炎症と血液・内分泌・代謝内科疾患の臨床病態との関わりを解明する研究を進めています。 血液内科分野では特に、造血幹細胞移植の際に致死的になりうる合併症であるGraft Versus Host Diseaseの克服を目指しています。 内分泌代謝内科学ではSOCSファミリーのノックアウトマウスを用いて、メタボリックシンドロームやその合併症を抑制可能な因子の探索を行っています。 慢性炎症の病態解明に興味のある人の参加を歓迎します。
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保健機能食品は、健康に関する効能表示ができない一般食品と医薬品との中間的存在で、
目的や機能等の違いにより、国が有効性や安全性を個別審査の上許可した「特定保健用食品(トクホ)」、
国が定める特定の栄養成分の規格基準に適合した「栄養機能食品」と、
平成27年4月に新設された「機能性表示食品」の3種類があります。
「特定保健用食品(トクホ)」は厳しい認定基準があり、国が食品ごとに効果や安全性を審査しています。「栄養機能食品」は、
すでに科学的根拠が確認されたビタミンやミネラルなど国が定めた栄養成分を基準量含んでいる食品で、特に届け出なく表示できます。
これらに対し「機能性表示食品」は、消費者庁に安全性と機能性の根拠を含む必要書類を提出すれば、 特に審査なく健康に関する効能を表示できるものです。つまり事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、 具体的には「おなかの調子を整えます」、「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の健康の維持・増進に役立つという機能を表示できる食品です。 特定保健用食品などと異なり、生鮮食品を含め、原則的にはすべての食品が対象となっていますが、注意しなければならないことは、 あくまで疾病に罹患していない方を対象にした食品であり、疾病の治療を目的にしたものではないということです。
食品なので安全は最低条件です。安全性は、今まで広く食べられていたかどうかの食経験、安全性に関する既存情報の調査、動物や人を用いての安全性試験、あるいは医薬品との相互作用についても評価されます。 一方、機能性については、最終製品を用いた臨床試験か最終製品または機能性関与成分に関する文献調査のいずれかによってなされ、「どのような科学的根拠に基づいて」・「どのような人が」・「どのように摂取すると」・「どのような機能性があるのか」が明確にされます。
健康に関心の高い現在、「機能性表示食品」の売り上げは好調で、「健康」は商品購入のための大きなインセンティブになっています。 ただし審査がないとは言え「機能性表示食品」の表示については、十分な法律の遵守が必要で、科学的根拠に基づかない、 あるいはその範囲を超えた表示をすれば、食品表示法違反、あるいは不当表示防止法の不当表示または健康増進法の虚偽誇大広告に該当するおそれがあります。 特に「花粉症に効果あり」、「糖尿病の方におすすめです」等の疾病治療効果を標榜する文言や、消費者庁の審査や許可を受けたと誤認させるような用語は不可です。
その一方、地域の特産物(農産物や魚介類およびその加工食品、山菜、発酵など伝統的製法に基づく食品など)に何らかの健康上有用な機能を見つけ、 「機能性表示食品」として付加価値を付けて、地域活性化に結び付けたいと考えるのも自然な流れです。 新潟を含む地域特産品で「最終製品を用いた臨床試験」の結果を出して、人々の健康と共に、農漁業、食品産業を含む地域活性化にも貢献したいと考えています。
糖尿病をはじめとする生活習慣病はますます増加しています。「食の新潟」を代表する研究施設として、企業等からの「機能性表示食品」などの共同研究・開発に協力するのも教室の使命の一つと考えていますが、大学の研究として、質の高い科学的根拠を提供したいと考えています。 成分・効能などの科学的根拠として、十分な動物実験の結果に基づき、臨床専門医により計画された、最終製品を用いたヒト臨床試験を原則としています。 時間・費用はかかるものも、消費者の信頼感などの面で、長い目で見ればよかったと、私達の方法を理解してくださる企業が多く存在します。
具体的な研究例としては、企業とのコラボレーションにより桑葉と血糖値のヒト臨床試験を行いました。 桑葉にはα―グリコシダーゼと同様の作用を持つノジリマイシンが含まれますが、桑葉は基礎実験で約0.13%のノジリマイシンを含有しますが、 ヒト臨床試験で3か月間服用後HbA1cなどの改善が見られたことを報告しています。 このように、基礎実験とヒト臨床試験の組み合わせでワンランク上の保健機能食品研究を目指しています。
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言うまでもなく医療と心理とは切っても切れない関係があります。 糖尿病を始めとする生活習慣病の予防・治療の現場では「食事運動療法さえしっかりできれば、薬やインスリン治療もやめられる(減らせる)はず」の患者さんは少なくありません。 しかし「わかっちゃいるけど…」、「忙しくてなかなか時間がなくて…」というのが人間です。 どんなにいい薬もきちんと飲まなければ聞きませんし、あまり厳しく指導して通院中断してしまったら元も子もありません。 また白血病など悪性疾患の宣告を受けた人をサポートするにはどうしたらいいのか、腫瘍患者さんのQOLを高めるにはどうしたらいいのかという誰にでも起こりうる深刻な問題にも、我々は日々対応しています。
このような問題は医師のみでは十分な対応ができませんし、これまでの理論やマニュアルは明らかに不十分です。 私たちは、看護学、心理学など多くの分野の知恵を結集して、新しい視点から取り組んでいきたいと考えています。 意欲を持って研究してみたい方を募集しています。
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血液疾患、代謝・内分泌疾患いずれにおいても、最先端の新薬や医療機器も含め、多様な(医師主導)臨床研究や治験(臨床研究推進センター(旧:ちけんセンター))を推進しております。 このような研究に興味のある方や企業もぜひご相談ください。 企業研究者で学位取得希望(修士があれば最短3年、勤務継続)、あるいは手持ちデータの共同解析研究希望などのご相談も歓迎します。
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内分泌・代謝内科分野、血液内科分野【外来電話番号】025-227-2534
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当科では糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満・メタボリック症候群などの代謝疾患(生活習慣病)やバセドウ病、慢性甲状腺、甲状腺腫瘍、クッシング症候群、原発性アルドステロン症などに代表される内分泌疾患(ホルモンの病気)の診療や教育研究をおこなっております。また、急性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、貧血、凝固異常症など血液疾患の診療(新規治療薬を用いた多剤併用化学療法、造血幹細胞移植、細胞免疫療法など)や教育研究を行なっております。
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