Youはどうして臨床病理へ?


『そういえば病理のことあまり知らないなあ・・・。』

『病理医もありかも・・・?』

『病理ってどんな感じなのかな?』

初期臨床研修中、いや、もしかしたら学生のときに、
ふと「病理」が頭をよぎったあなた、または現在進行形で検討中のあなたへ、
ベールに包まれている(?)「病理」について、
現在当教室に在籍している先生たちに、

「なぜここにいるのか?」
「病理学教室はどんなところなのか?」

などなど、生の声を聞きました。

【バックナンバー】

 第2回 福田 睦先生の場合
 第1回 近藤修平先生の場合

第3回 谷 優佑(たに ゆうすけ)先生の場合


より自分が必要とされる分野に進みたい 

医学部生のときに病理に進むことを決める。現在は一児の父であり、時間のやりくりをしながら子育てにも積極的に関わっている。日本病理医フィルハーモニーのメンバーでもある。

谷先生


-病理医になろうと思ったのはいつ頃ですか?

学生のときは基礎と臨床の両方に興味があり、病理は基礎と臨床のちょうど中間に位置しているように当時はみえました。また研究だけでは物足りない気もしていました。だから病理に興味はありましたが、臨床医でも良かったのです。
僕は病理の授業で検体をみる作業も面白かったし、黙々と作業することも嫌いではなかったし、何となく病理は自分の性にあっているようにも感じました。ところが同級生には顕微鏡が苦手な人も少なからずいましたし、病理には行かないという人が圧倒的多数でした。それだったら病理医が少ないということも知っていたので、より自分が必要とされる分野に進みたいと思いました。
学生のときはどうやったら病理医になれるのかわからなかったのですが、友達に頼んで病理の教授を紹介してもらいました。教授にお会いして、その時点で病理に進むことが決まりました。


-研修は病理メインでしたか?現在は大学院生ですね。

はい、もう病理に入ることを決めていたので、研修医の1年目は必修の科を廻り、2年目の8月からここの臨床病理に所属しています。研修が終わり、その後は大学院生になりました。現在は同時に大学病院の病理部にも所属しています。


-病理のどんなところが魅力ですか?

検体はその人のからだの組織のある瞬間を固定したものです。その検体から得られる情報は無限大です。その情報をどう読み解き、何を選び、どう表現するかが病理医の仕事になります。何が悪さをしたのか、その犯人探しは大変な作業でもありますが、そこに醍醐味を感じます。病理医は患者さんと会うことはありませんが、その分病気とより純粋に向き合っているように感じます。
それから病理医は年をとっても続けやすいことも魅力です。臨床医は科によっては高齢になると手先や体力の問題などがありますが、病理医は基本的に目が大丈夫ならできるので。新潟大学の病理同窓会に参加すると、かくしゃくとされている高齢の先生方が多く、皆さんとてもパワフルで驚きます。


-新潟大学の臨床病理の研究は消化器がメインですが、診断は消化器に限らず全般的にしていますよね。

はい、脳以外は診断をしています(脳は脳研究所が担当しています)。教授や助教の先生方の研究は消化器がメインですが、臓器全般の知識がなければ病理専門医はとれません。僕たちが一次診断した検体は、すべて病理専門医の先生がチェックされます。病理専門医の先生方は全般的な知識を持ちつつ、それぞれの専門分野を持っておられるので、複雑な症例などは、他の分野を専門とする先生にお聞きする場合もあります。週に1回来られる山形大学名誉教授の本山悌一先生は男女生殖器病理がご専門ですし、大学病院の病理部の先生も専門が違います。いろいろな分野を学べる環境は整っていると思います。


-病理は自分の時間のマネジメントがしやすいと聞いていますが、やはりそうですか?

僕はそれを最大限に利用しています。以前は夜遅くまで仕事をしていたのですが、子どもが生まれたので、今は育児を手伝うために夕方の6時過ぎには帰っています。そのかわり朝の4時か5時に大学に来ています。臨床医の場合は当直などもありますし、このようにフレックスタイムで働くことは難しいと思います。


-他に病理で良かったことはありますか?

実は病理医には「日本病理医フィルハーモニー」というオーケストラがあって、病理学会の時期に演奏会を開催しています。僕はそこに所属しています。学生のときは新潟大学管弦楽団で活動していました。メンバーは病理医をはじめ、初期臨床研修医、放射線科医、法医学者、看護師、臨床検査技師、大学生など多くの職種の方がいて、新潟大学の病理からは僕を含め3人が参加しています。一大勢力です(笑)。演奏会では現地の合唱団が加わり、総勢100人以上になります。年に1回の本番に向けて、毎年3、4回各地で合宿をしているので、趣味の音楽を続けることができる上に、分野の垣根を越えて他県の人といろいろな話ができますし、相談に乗っていただくこともあります。通常の学会では他県の先生方とじっくり話をする機会というのはそれほどありませんし、とても貴重な場になっています。


(インタビュー日:2016年2月23日)

新潟大学医学部 臨床病理学分野は人材募集中です!見学を希望される医学部学生さんや研修医の先生は、総括医長の高村佳緒里までお気軽にご連絡ください。025-227-2096/メール takamura@med.niigata-u.ac.jp)


ページのトップへ戻る