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2024年1月17日 抗インフルエンザ剤感受性低下株調査の結果

2023/24年インフルエンザシーズンは2023年10月に始まりました。インフルエンザA(H1N1)pdm09の流行が優勢であり(n=32)、A(H3N2)亜型の流行もみられました(n=22)。一部の症例は亜型分類ができず、A未分類(n=3)と定義されました(図1)。

日本では2023年10月から12月にかけて、合計61件の初診時検体と29件の再診時検体が採取されました。このうち18検体がバロキサビル投与後に採取されました(表1)。

 

サイクリングプローブ・リアルタイムPCR法によるPA/I38T置換の検出結果を以下に示します(表2)。バロキサビル投与後のペアサンプルは全部で18検体でした。そのうち12検体がA(H1N1)pdm09に感染し、4検体が再診時も陽性で、PA/I38T置換を有するものはありませんでした。ペアのバロキサビル投与A(H3N2)陽性検体6件は野生型で、再診時に陽性検体はありませんでした。

これまでのところ、PA/I38T置換は1例も検出されていない。

 

インフルエンザB型は検出されませんでした。

 

[PA遺伝子解析]

次世代シークエンシング(NGS)を実施した1検体では、PAセグメントのI38T置換は検出されませんでした(表3)。

 

[NA遺伝子解析]

治療前検体では、NGSによりNA遺伝子にNAI感受性を低下させる置換は検出されませんでした(0/1)(表4)。