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2016/8/1

放射線部海開き

7月22日に放射線部の海開きが開催されました。開催場所の関屋浜は医歯学総合病院から歩いて行けるほど近くにあり、毎年開催されています。

放射線部の海開きは、医師、看護師、診療放射線技師、医学物理士の他職種合同で開催されています。今年はスタッフやその御家族を含め60人程度が参加され、終了まで大いに賑わいました。私自身、海に行くことが数年ぶりでとても楽しい時間を過ごすことができました。

日本海に沈む夕日を眺めながらのバーベキューは格段においしく感じました。
幹事の皆様、素敵な海開きをありがとうございました。 (久島 尚隆)

関屋浜から眺める日本海の夕日

       
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2016/7/25

2016年度医学物理士認定試験対策 第1回模擬試験開催

 ポケモンGOが日本でも解禁され、世間の波に流されるようにダウンロードした棚邊です。ピカチュウなどのレアポケモンはなかなかGETできないですね。。
 さて、当医学物理グループでは、本学の医学物理コース大学院生や医学物理士認定試験に興味のある方を対象に、7月と9月の2回に分けて、医学物理士認定試験の模擬試験を開催しております。2014年度から模擬試験を取り入れて以降、2年連続で合格率100%(計5名)を達成しています。昨年度から新たに追加された記述式 放射線防護では、2015年度模擬試験にて出題した内容と非常に類似した問題(周辺線量当量の定義)が出題されました。今年受験される大学院生の皆様も是非医学物理士への切符をGETしていただきたいと思います。(棚邊 哲史)

       
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2016/7/13

ウィスコンシン大学病院 UWCCC研修報告記B

 UWCCCの研修を終え、帰国前日の6月16日に、日本アキュレイ株式会社のご厚意によりマディソンにあるAccuray Inc.(1240 Deming Way, Madison, WI53717)を訪問させていただきました。第3回目となる報告記ではTomotherapyの開発プロセスについて報告させていただきます。

 CyberKnifeおよびTomoTherapyが開発されているAccuray Inc.訪問にて、主にTomotherapyの開発プロセスを見学させていただきました。ここで、TomoTheapyとはCT一体型の放射線治療システムであり、UWCCCの前教授のThomas R. Mackie先生により1993年に発案された治療装置です。TomoTherapyの加速器部分はC-arm型リニアック同様、電力供給源・モジュレータ・マグネトロン・電子銃・加速管から構成されています。また、開閉時間制御型のバイナリMLCの動的位置精度の検証も見学させていただきました。照射野移動時間は最大20 msと高速であり、大きな音が室内に鳴り響いていたことが印象に残っています。各プロセスを経て装置が完成した後は、約3週間かけて@初期セットアップ、Aビームアライメント、BMVCT画像、CIMRT、D総合試験の順で検証が行われるとのことでした。C、Dの検証ではTopographic profileなど様々な条件にてフィルム測定等行われていましたが、中でも照射後フィルムに模られたバジャー(ウィスコンシン州のマスコットであるアナグマ)のクオリティの高さには衝撃を受けました。「TomoTherapyはC-arm型のリニアックよりも強度変調の分解能が高い」と伺っていましたが、濃淡のきめ細やかなバジャーが描かれたフィルムを目の当たりにし、百聞は一見に如かずだと感じました。見学中は新型TomoTherapyであるRadixact(現地ではタイタンと呼ばれていました)の詳細についてもエンジニアの方にご教示いただき、大変勉強させていただきました。新潟県内にTomoTherapyが導入された際には、何らかの形で今回の見学で得られた知見を還元させていただければと思っています。改めまして、このような貴重な機会をいただいた日本アキュレイ株式会社の皆様に感謝申し上げます。

 高精度放射線治療が著しく普及している昨今、医学物理士が担うべき臨床業務は多岐に渡っています。本研修を通して、医学物理学の専門家として臨床業務に貢献するために、レジデントコースをはじめとした臨床研修が非常に重要であることを再認識致しました。2週間という短い期間の中で数多くの有益な知見を得ることができたことは私にとって大きな財産であり、今後の臨床業務の中でそれらを還元していく所存です。

 海外派遣研修の機会を与えてくださった日本医学物理士認定機構に深く感謝申し上げます。また、研修を快く受け入れていただいたUWCCCのDr. John E. Bayouth教授をはじめ、献身的にご指導いただきましたDr. Bayliss, Dr. Frigo, Dr. Labbyに深く感謝申し上げます。最後に、海外研修を快く認めてくださった青山英史教授に深く感謝申し上げます。

棚邊 哲史

       
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2016/7/12

ウィスコンシン大学病院 UWCCC研修報告記A

 研修報告記第1回目は放射線治療装置と医学物理士の臨床業務を中心に報告させていただきました。第2回目は医学物理士レジデントプログラムに関する報告をさせていただきます。

 UWCCCにおける医学物理レジデントプログラム(clinical medical physics residency program)は2004年にCAMPEPの正式認可を受け、これまで計12名が本研修プログラムを修了しています。世界で最初に医学物理博士課程を設置した大学ということもあり、年によってレジデント倍率は数十倍と非常に狭き門のようです。在籍していた計3名(1年目2名、2年目1名)のレジデントはいずれも博士号を取得しており、原著論文を何本も書いている優秀な方々でした。レジデントプログラムは、2年の期間中に計8つのセクション(Introduction to Clinic, Treatment Planning, Commissioning & Shielding, TomoTherapy, Advanced Treatment Planning, Brachytherapy, Special Procedure, Elective)に大別されます。レジデントは3カ月毎にローテーションを行い、その都度、口頭試験とレポート提出が課せられます。驚いたことに、口頭試験は1人当たり約2時間にわたり行われるとのことで、最初の30分はセクションの学習内容をまとめたプレゼンテーション、その後30分間は試験官(医学物理士Faculty)による質疑応答(1問当たり4~5分)、そして残りの1時間は試験官がテーマを与えてその内容についてディスカッションを行うという内容でした。当院でも4ヶ月毎にレジデントに対して口頭試験(1時間強)を行っていますが、あるテーマを与えるディスカッション方式は取り入れたいと感じました。さらに驚いたことに、1年目のレジデントの方が作成していたレポートを拝見した際、頁数はすでに100を超えており、非常に内容の濃い研修であることが伺えました。

 UWCCCの医学物理士レジデントは3カ月毎のローテーション業務に加えて、1年目はMonthly QA、Annual QA(参加)、IMRT QA(1回/wks)、3DCRT治療計画の業務を、2年目はWeekly Chart Check、POD/PIC参加、高精度放射線治療計画、小線源治療、Annual QAなどの業務を行います。IMRT QAについては主に医学物理博士課程の大学院生が中心となって行っており、その指導を2年目のレジデントが行っていました。大学院生や医学物理士スタッフ各々からひっきりなしに呼ばれる場面も散見され、とても忙しそうな日々を送っていました。ちなみに2年目のレジデントに1日当たりの勤務時間を聞いたところ、平均6.5時間位とのことでした。

 UWCCCの医学物理士レジデントは関連病院においても研修を積んでいました。幸いにも、レジデント3名と一緒にEast UWHealth Clinic(UWCCCより車で30分程度)を訪問し、TrueBeamのMonthly QAを行わせていただきました。QA項目はMechanical check, Dosimetry constancy check, On board imaging check, Respiratory gating check, MLC checkの5つに大別され、全ての項目をレジデント自身が自発的に行っていたのが印象的でした。Dosimetry constancy checkの際には、AAPM TG51 addendumの線質指標である%dd(10)xと標準計測法の線質指標であるTPR20,10の相違と各々の長所をテーマに、有意義なディスカッションができました。途中からAssociate Program DirectorもQAに参加し、レジデントに対して熱心に指導されておりました。

 訪問中にレジデントと接する中で一番強く感じたことは、UWCCCでは体系化されたシステムにより、レジデントひとりひとりが自発的に業務を遂行できる環境が整っているということです。具体的には、各セクションの目的・達成目標・業務内容・レジデント評価項目等の詳細は全て医学物理士スタッフが作成したWikipedia上で管理されており、レジデントはWikiを参照しながら3カ月間毎にスケジュールを計画し実行していました。患者さんに直結する臨床業務以外はあまり口を出さないと医学物理士スタッフが仰っていたのは意外でしたが、それだけレジデント自らが目標を持って業務に取り組んでいる証拠だと思いました。

 当院では2015年10月に医学物理士レジデントコース開設され、まもなく1年が経とうとしています。当然のことながら、医学物理士のマンパワーはUWCCCに比べて圧倒的に劣ります。しかしながら当院では、医学物理士に加えて、放射線腫瘍医や診療放射線技師の皆様が三位一体となってレジデント教育を行っており、その教育体制はUWCCCと引けをとらないと感じています。むしろ、腫瘍医による臨床的指導、放射線技師による技術的指導を受けられるという意味では、UWCCC以上かもしれません。海外研修を通して、海外のレジデントプログラムを踏襲することも大事ですが、当院ならではの特長を活かしていくことも重要だと考えるようになりました。これからも周りの方々のサポートをいただきながらレジデント教育体制を強固なものにしていきたいと思います。

棚邊 哲史

       
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2016/7/11

ウィスコンシン大学病院 UWCCC研修報告記@

 この度、日本医学物理士認定機構の助成をいただき、平成26年6月5日から17日の間、米国ウィスコンシン州マディソン市にあるウィスコンシン大学病院のCarbone cancer center(以下UWCCC)にて研修させていただきました。約2週間という短い期間ではありますが、多くの有益な知見を得ることができましたので、3回に分けてご報告させていただきます。第1回目は、UWCCCにある放射線治療装置と医学物理士の臨床業務を中心とした報告です。

 ウィスコンシン州はアメリカ中西部の最北に位置する州であり、近くには五大湖があります。州都であるマディソンはウィスコンシン大学の本部キャンパスであるマディソン校を抱える学術都市であり、アメリカの中で最も治安が良い都市といわれています。

 本研修の目的は、アメリカの医学物理士が担う役割を学ぶこと、また医学物理士レジデントプログラムの情報を収集することです。2015年に当院において医学物理士レジデントコースが開始されて以降、レジデント教育を行う中で、海外の医学物理士教育の現状を知りたいという想いが日々強くなっていきました。ウィスコンシン大学は世界で最初に医学物理学の大学院博士課程を設立した大学であり、本研修の目的を果たすには充分な研修場所です。研修前には、医学物理士レジデントコースに加えて、放射線治療計画や各QAなど研修・見学したい項目をリストアップし、先方にお伝え致しました。

 放射線治療が行われているDepartment of Human Oncologyは、facultyだけで34名(医師16名、医学物理士12名、Scientist6名)、レジデント11名(医師8名、医学物理士3名)、ドシメトリスト、放射線技師、看護師から構成される大規模な部門です。放射線治療装置はVarian社のTrueBeam STx、Trilogy、Accuray社のTomoTherapy、ViewRay社のMRIdianの計4台で、1日当たりの治療患者数は約120名とのことでした。滞在中は、全ての放射線治療装置の治療とQAをメインに見学させていただきました。

 UWCCCにおける医学物理士の臨床業務は、@特殊な放射線治療におけるシミュレーション、患者位置照合立会い、A放射線治療計画および計画チェック、BPatient QA、C放射線治療関連装置のトラブルシューティング、DMachine QA、E小線源治療およびF関連病院への出張業務の7つに大別されます。これらの臨床業務は(1) Physicist of the Day (POD)、(2) Physics Initial Check (PIC)、 (3) Special Procedures (SP)の3つの役割に分けられ、計16名の医学物理士が日割りで担当します。PODはDaily QAのチェックや臨床業務サポート、PICは治療計画チェックや後述のChart Check、SPは定位放射線治療計画やMRIdianの治療計画等が主な業務です。いずれの業務も効率良く行われていました。見学させていただいた数多くの臨床業務の中で特に印象に残った業務は、放射線治療前の患者位置照合とWeekly Chart checkです。日本のほとんどの放射線治療施設では患者位置照合の確認・承認は医師が行いますが、UWCCCでは医学物理士が中心となって行われていました。呼吸同期照射のような高い精度が要求される放射線治療の場合には照射が始まった後も治療操作室に残り、マイク越しに患者に声掛けする場面も見られました。治療終了後にはセラピストと共に患者を支えながらベッドから降ろす光景はとても印象的でした。また、Weekly Chart Checkは放射線治療患者が適切な治療を受けているかどうか、日々の照合画像を確認する他、処方線量や照射野情報を詳細にチェックし承認する作業であり、患者数によっては1日かかりの業務となります。いずれの業務も放射線治療の安全性を担保するために重要であり、UWCCCの医学物理士は明確な責任下で重要な役割を担っていると強く感じました。

 研修期間中は見学だけでなく、色々な放射線治療装置のマシン QA等において医学物理士facultyやレジデントと一緒に手を動かすという貴重な経験をさせていただきました。特筆すべきはMRIdianの概要とQAです。当科の阿部先生がNews&Topics「海外研修・見学報告」にて述べられておりますように、現時点では唯一、MRIガイド下で “Adaptive radiotherapy” が可能な放射線治療装置です。線量分布への影響を抑えつつ、画像誘導放射線治療(IGRT)が可能となるよう0.35 Teslaの強度に設定されており、Co-60線源(45,000 Ci)が用いられています。MRIdianの特長として、MRI画像をベースとするため軟部組織の描出に優れていること、そして照射中にCTのように被曝をともなうことなく腫瘍のリアルタイムトラッキング(RTRT)が可能であることが挙げられます。一方で、磁場の影響による線量分布の変化や、ローレンツ力による二次電子の再入射(electron return effect)がもたらす皮膚線量増加、患者スループットの低さなど臨床上の課題もありますが、現在装置の改良が行われているとのことでした。UWCCCでは1日当たり5人前後がMRIdianにて放射線治療を受けており、疾患の多くは腹部腫瘍や骨盤領域、婦人科腫瘍、食道癌で、ほとんどがRTRTによる治療でした(MRIdianによるRTRTの詳細については阿部先生の記事をご覧ください)。
さて、MRIdianのMorning QAやMonthly QAでは、基本的にはCアーム型のリニアックと同じように、インターロック表示の確認やレーザー位置・カウチ移動距離の確認、電離箱線量計(A12)測定によるRadiation isocenterとImaging isocenterの一致度確認、QAファントム画質の均一性確認などAAPM TG 142に記載されている項目に加えて、室内の酸素温度の確認などMRIならではのQA項目も多々ありました。驚いたことに、研修1週目はJohn Bayouth教授自らが30~40分程度のMorning QAを行われていました。QA中の会話の中で、教授の “Every plan we create today is a lie.”という言葉は衝撃的であり、Adaptive radiotherapyの必要性を痛感した次第です。繰り返しになりますが、MRIdianは毎治療時に輪郭描出可能な画像を取得し、その場で線量分布計算が可能であり、計画された計画位置に腫瘍が来たときだけ照射することができる理想的な “Adaptive radiotherapy”装置です。日本でもお目にかかれる日が楽しみです。

 本研修でUWCCCの医学物理士の臨床業務を見学し、Chart Checkなど当院においても取り入れたいと思っています。しかしながら、アメリカではこれらの業務に関する診療報酬加算が取れるのに対し、日本では高精度放射線治療のQA/QCを含め、これらの業務を行ったとしても加算を取ることができません。少ないマンパワーで医学物理業務をこなしている今の状況下で、業務量を更に増やすことで私たち医学物理士のQOLが下がり、放射線治療の品質管理能力が低下してしまっては本末転倒です。したがって現時点では、当院の現状に合わせて医学物理業務を遂行する中で、本研修で得た情報を少しずつ還元していきたいと考えております。

 次回は医学物理士レジデントプログラムに関する報告です。是非、医学物理グループのホームページをご覧ください。

棚邊哲史

       
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