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研修報告記第1回目は放射線治療装置と医学物理士の臨床業務を中心に報告させていただきました。第2回目は医学物理士レジデントプログラムに関する報告をさせていただきます。
UWCCCにおける医学物理レジデントプログラム(clinical medical physics residency program)は2004年にCAMPEPの正式認可を受け、これまで計12名が本研修プログラムを修了しています。世界で最初に医学物理博士課程を設置した大学ということもあり、年によってレジデント倍率は数十倍と非常に狭き門のようです。在籍していた計3名(1年目2名、2年目1名)のレジデントはいずれも博士号を取得しており、原著論文を何本も書いている優秀な方々でした。レジデントプログラムは、2年の期間中に計8つのセクション(Introduction to Clinic, Treatment Planning, Commissioning & Shielding, TomoTherapy, Advanced Treatment Planning, Brachytherapy, Special Procedure, Elective)に大別されます。レジデントは3カ月毎にローテーションを行い、その都度、口頭試験とレポート提出が課せられます。驚いたことに、口頭試験は1人当たり約2時間にわたり行われるとのことで、最初の30分はセクションの学習内容をまとめたプレゼンテーション、その後30分間は試験官(医学物理士Faculty)による質疑応答(1問当たり4~5分)、そして残りの1時間は試験官がテーマを与えてその内容についてディスカッションを行うという内容でした。当院でも4ヶ月毎にレジデントに対して口頭試験(1時間強)を行っていますが、あるテーマを与えるディスカッション方式は取り入れたいと感じました。さらに驚いたことに、1年目のレジデントの方が作成していたレポートを拝見した際、頁数はすでに100を超えており、非常に内容の濃い研修であることが伺えました。
UWCCCの医学物理士レジデントは3カ月毎のローテーション業務に加えて、1年目はMonthly QA、Annual QA(参加)、IMRT QA(1回/wks)、3DCRT治療計画の業務を、2年目はWeekly Chart Check、POD/PIC参加、高精度放射線治療計画、小線源治療、Annual QAなどの業務を行います。IMRT QAについては主に医学物理博士課程の大学院生が中心となって行っており、その指導を2年目のレジデントが行っていました。大学院生や医学物理士スタッフ各々からひっきりなしに呼ばれる場面も散見され、とても忙しそうな日々を送っていました。ちなみに2年目のレジデントに1日当たりの勤務時間を聞いたところ、平均6.5時間位とのことでした。
UWCCCの医学物理士レジデントは関連病院においても研修を積んでいました。幸いにも、レジデント3名と一緒にEast UWHealth Clinic(UWCCCより車で30分程度)を訪問し、TrueBeamのMonthly QAを行わせていただきました。QA項目はMechanical check, Dosimetry constancy check, On board imaging check, Respiratory gating check, MLC checkの5つに大別され、全ての項目をレジデント自身が自発的に行っていたのが印象的でした。Dosimetry constancy checkの際には、AAPM TG51 addendumの線質指標である%dd(10)xと標準計測法の線質指標であるTPR20,10の相違と各々の長所をテーマに、有意義なディスカッションができました。途中からAssociate Program DirectorもQAに参加し、レジデントに対して熱心に指導されておりました。
訪問中にレジデントと接する中で一番強く感じたことは、UWCCCでは体系化されたシステムにより、レジデントひとりひとりが自発的に業務を遂行できる環境が整っているということです。具体的には、各セクションの目的・達成目標・業務内容・レジデント評価項目等の詳細は全て医学物理士スタッフが作成したWikipedia上で管理されており、レジデントはWikiを参照しながら3カ月間毎にスケジュールを計画し実行していました。患者さんに直結する臨床業務以外はあまり口を出さないと医学物理士スタッフが仰っていたのは意外でしたが、それだけレジデント自らが目標を持って業務に取り組んでいる証拠だと思いました。
当院では2015年10月に医学物理士レジデントコース開設され、まもなく1年が経とうとしています。当然のことながら、医学物理士のマンパワーはUWCCCに比べて圧倒的に劣ります。しかしながら当院では、医学物理士に加えて、放射線腫瘍医や診療放射線技師の皆様が三位一体となってレジデント教育を行っており、その教育体制はUWCCCと引けをとらないと感じています。むしろ、腫瘍医による臨床的指導、放射線技師による技術的指導を受けられるという意味では、UWCCC以上かもしれません。海外研修を通して、海外のレジデントプログラムを踏襲することも大事ですが、当院ならではの特長を活かしていくことも重要だと考えるようになりました。これからも周りの方々のサポートをいただきながらレジデント教育体制を強固なものにしていきたいと思います。
棚邊 哲史

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