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2017/12/
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日本放射線腫瘍学会第30回学術大会(2017.11.17〜11.19 大阪)
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去る2017年11月17日-19日の3日間、大阪コンベンションセンターに於いて日本放射線腫瘍学会第30回学術大会が開催されました。紅葉が色づく11月、メインテーマである「放射線腫瘍学の役割拡大 ビッグデータ時代における挑戦」に相応しい発表が多く見受けられました。昨年の第29回学術大会に引き続き、ビッグデータをはじめ、機械学習、Radiomicsに関する研究成果が増えてきたように感じました。
当グループからは棚邊が研究発表2演題とランチョンセミナー、医学物理士レジデントの滝沢さんがポスター発表を行いました。JASTROgram-978のニュースにて、私の口演発表『正常脳の正常組織障害発生確率を用いた悪性神経膠腫に対するVMATの適応基準の検討』が注目の一般演題に選出されました。注目の一般演題とは、査読評価が高かった演題を意味しており、初日、2日目あわせて計9つの演題のみ選出されていました。また、「VMAT照射の臨床的な適応について、NTCPに基づいた解析により明確な指標をしめした有益な研究結果」とのコメントをいただきました。
滝沢さんは「前立腺癌放射線治療における金マーカー照合の3軸位置合わせ精度」について発表しました。6軸補正が可能な放射線治療機器が増えている昨今、果たして6軸合わせは良好な精度を担保できるのか、prospectiveに検討を重ねてきました。今後は、どのような症例が6軸補正が必要なのか症例の選択基準を模索していきたいと考えています。
私自身は、昨年に引き続き島津製作所ランチョンセミナー「動体追跡治療の最新動向」にて、SyncTraX FX4 versionの動体追跡クリニカルコミッショニングについてお話させていただきました。現在は3DCRTにおける動体追跡放射線治療のクリニカルコミッショニングを終えたばかりですが、今後は動体追跡放射線治療の課題である照射時間を短縮するために、FFFやVMATの技術を取り入れて検討を重ねていく予定です。
今後も継続的に動体追跡放射線治療をふくむ呼吸同期照射やIMRT/VMATを軸にした研究を進めていきたいと思います。(棚邊 哲史)
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第59回米国放射線腫瘍学会に参加しました(2017.9.24-27)
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2017年9月23日から27日の期間、アメリカ SanDiegoに於いて開催された第59回米国放射線腫瘍学会(ASTRO)に参加しましたので、報告いたします。
新潟大学からは海津先生と斎藤先生、医学物理グループからは私と高橋さんがそれぞれポスター発表しました。私自身、ASTROは2回目の参加・発表でしたが、初めて(2010年)のASTROも今回同様SanDiegoでした。
学会期間中は朝から多くの参加者が各セッションを聴講しており、特に進行頭頸部癌に対する化学放射線治療の臨床試験に関するセッションが人気だったようです。
私はPhysicsセッションにて"Clinical commissioning of a novel patient positioning system with four X-ray tubes and flat panel detectors for brain stereotactic radiotherapy"というタイトルにて、動態追跡放射線治療用システムSyncTraX FX4の位置照合に関して発表いたしました。
学会後は、先生方とミッドウェー付近のシーフードレストランにて夕食を共にしたり、ダウンタウンを散策したり、SanDiegoを満喫することもできました。
今後もAAPM, ASTROをはじめとした国際会議にて継続的に発表していきたいと思います。(棚邊 哲史)
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2017/12/1
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本院初の医学物理士レジデントコース修了者・高橋春奈さんの修了証書授与式が行われました
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2017年10月5日(木)、本院初の医学物理士レジデントである高橋春奈さんの修了証書授与式が病院長室で行われました。
「医学物理士」とは、主に放射線治療において治療の精度や安全性が十分なレベルにあるかを担保する職種であり、「医学物理士レジデントコース」とは、臨床現場で即戦力となるような医学物理士を養成するための研修を行う教育プログラムです。このような教育プログラムの履修は米国では必須とされていますが、国内では本院と筑波大学にしか開設されていません。高橋さんは本院初の医学物理士レジデントコース修了生であるだけでなく、国内でも非常に貴重な人材ということになります。
新潟市民病院の医学物理士として新たな一歩を既に歩み始めた高橋さんには、更なる高みを目指して頑張っていただきたいです。

左から:鈴木榮一病院長、医学物理士レジデント・高橋春奈さん、放射線治療科・青山英史教授
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2017/8/31
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米国医学物理士認定試験 合格
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皆さんこんにちは、宇都宮です。2017年5月に受験した米国医学物理士認定試験に合格しましたのでご報告させていただきます。米国の医学物理士認定試験はThe American Board of Radiology(ABR)が実施しており、Part 1、2、3の3段階あります。Part 1の試験範囲は大学院レベルの医学物理学、解剖学、医学用語、生理学、放射線生物学などで、Part 2の試験範囲は放射線治療分野(受験者によっては放射線診断分野、核医学分野)の医学物理学で、いずれもコンピュータベースの試験です。Part 3は口頭試験で、病院の放射線治療部門(受験者にとっては放射線診断部門、核医学部門)での臨床業務を想定した内容が質問されます。Part 3の試験項目は5つあり、1. Radiation protection, patient safety, professionalism and ethics、2. Patient-related measurements、3. Image acquisition processing and display、4. Calibration, quality control, and quality assurance、5. Equipmentで、それぞれ30分で5問ずつ出題されます。普通のホテルの一室が試験会場となっており、ディスプレイに映し出される図表を見ながら試験官一名と質疑応答をしていきます。試験問題は様々ですが、例えば「放射線治療で重要となるBEDとは何か、説明せよ」「子宮頸がんの小線源治療でA点、B点の意味及び直腸線量、膀胱線量の評価法について述べよ」など、日本の医学物理士も勉強しているであろう内容が中心だと思います。ただし、込み入った内容をとっさに英語で説明するのはとても大変で、自分にとっては非常にハードな試験でした。実は、Part 3の試験は過去に3回不合格になっていて、今回が4回目の挑戦でやっと合格することができました。このような貴重な経験を今後の医学物理士業務や学生の指導などに活かしていきたいと考えています。試験についてもっと知りたい方はABRの公式サイト(下記)をご覧ください。試験範囲の詳細なリストやサンプル問題なども掲載されています。https:// www.theabr.org/ medical-physics/ initial-certification
(宇都宮悟)

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2017/8/3
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AAPM annual meeting 2017参加報告
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2017年7月30日から8月3日の期間、米国デンバーに於いて開催された第59回米国医学物理学会(AAPM)に参加しましたので、報告致します。今年は “Connecting our pathways, unifying our profession”というテーマのもと、最新の研究や医学物理士教育の在り方について等、様々な内容が取り上げられていました。ホットトピックは、昨年のAAPM同様、機会学習(deep learning含む)・Big Data・MR-Linac・Radiomicsであったように思います。
今回のAAPMでは、新潟大学から棚邊が “Localization accuracy of a novel patient positioning system with four X-ray tubes and flat panel detectors: a phantom study”という題目でポスター発表、また魚沼基幹病院・新潟大学地域医療教育センター梅津氏が “Evaluation of imaging dose of a novel patient positioning system with four X-ray tubes and flat panel detectors”という題目で電子ポスター発表を行いました。いずれの発表も魚沼基幹病院にある動体追跡放射線治療用システムSyncTraX FX4を用いた患者位置決めに関する検討です。私は頭部・胸部・腰椎の各領域における位置決め精度を評価し、梅津氏はSyncTraXとTrueBeam OBIの被曝線量を比較評価しました。電子ポスター発表中は、国内外の多くの方々が質問に来られており、関心が高いことが窺えました。
今回もAAPM参加を通して多くの方々と出会い、多くの有益な情報が得られました。今後の研究・臨床業務に還元していきたいと思います(棚邊哲史)
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