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2023年3月1日~2024年2月26日 RSウイルス全国調査の結果

2022-23および2023-24シーズンのRSウイルス(RSV)全国調査について、2024年2月26日時点での結果は以下の通りであった。

2023年3月1日から2024年2月26日までに、日本全国から初診時検体89件が収集された(表1)。リアルタイムPCRによるサブタイピングの結果、A型は11件(12.4%)、B型は68件(76.4%)、陰性は10件(11.2%)だった。

 

[疫学曲線]

国立感染症研究所による5類定点発生動向調査の定点報告数と、本調査によるRSVの検出結果をもとに、月ごとの疫学曲線を作成した(図1)。2023年はB型優勢で3月に流行開始後、7月にピークを迎え、10月に収束していた。感染症発生動向調査の定点当たりの報告数と本調査における検体収集数の動きは概ね一致していた。2024年は現時点で流行は開始していない。

 

[G蛋白遺伝子系統樹解析]

 

ウイルスG蛋白エクトドメイン領域の遺伝子配列について、2022年と2023年の採取株に対し系統樹解析を行った。

A型の株はすべて遺伝子型ON1に属した(図2)。さらにON1(1.1)、ON1(1.2)及びON1(1.3)の3つに細分化され、ON1(1.1)に属する株は2019年アメリカ株(番号:MN396048)に、ON1(1.2)に属する株は2018年オランダ株(番号:MZ515866)に、ON1(1.3)に属する株は2021年フランス株(番号:OK500265)に最も近縁だった。

 

B型の2022年と2023年に採取された株はすべて遺伝子型BA9に属し、2018年オーストラリア株(番号:OQ941663)に最も近縁な株と2022年アメリカ株(番号:OQ357797)に最も近縁な株の2つのクラスターに分かれた(図3)。

2024-02-26 | Posted in ブログ|BlogComments Closed