新潟大学腎・膠原病内科

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研究について

膠原病・リウマチ研究グループ

グループ紹介

平成28年大学在籍中のリウマチ・膠原病グループメンバーは、大学院腎・膠原病内科和田庸子講師、大学病院中枝武司特任助教、野澤由貴子パート医員、長谷川絵理子大学院生医員、医学部保健学科中野正明教授、新潟大学保健管理センター黒田毅准教授、佐藤弘恵講師です。大学院生は黒澤陽一先生が免疫・医動物学教室、坂井俊介先生が分子遺伝学教室、高村紗由里先生が、腎研分子病態学教室でそれぞれ、基礎研究に励まれています。また、新潟県立リウマチセンターを始め、長岡赤十字病院、新潟県立中央病院、新潟市民病院などの地域基幹病院等で、当グループの出張医ならびにOBの先生方がご活躍中です。

大学病院の入院患者数は常に20人前後で、ありとあらゆる膠原病、自己炎症性疾患の専門的な診療に日々取り組んでおります。外来診療は月~金曜の午前、また木曜、金曜は午後外来も行っています。2015年6月に開院した魚沼基幹病院には、隔週火曜日にリウマチ膠原病外来を行っておりますが、近隣の医療機関からの紹介を受けて患者数が急増しており、リウマチ膠原病内科医のニーズの高さを今さらながら痛感しております。大学病院ちけんセンターでは関節リウマチ関連の治験が一段落し、現在はループス腎炎、ANCA関連血管炎に対する治験などに参加中です。

当グループでは臨床主体での研究活動を行っており、その成果は日本リウマチ学会、日本腎臓学会、中部リウマチ学会、東部腎臓学会、ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)、アメリカ腎臓学会(ASN)、アメリカリウマチ学会(ACR)等で発表し、論文作成を行っています(業績参照)。また、若手の学会発表を積極的に後押ししており、初期研修医や新入局員を中心に、日本内科学会信越地方会、中部リウマチ学会、東部腎臓学会などでの発表やcase reportの作成を指導しています。学生教育においても、当グループは医学部6年生のクリニカル・クラークシップでの人気が高く、より多くの学生さんにリウマチ膠原病診療の面白さを知ってもらおうと、積極的に学生さんの指導に力を入れています。

当グループは昨今女性医師の比率が多いことが特徴ですが、その理由として、子育てをしているパートの女性医師に積極的に病棟業務に関わってもらう方針を、いち早く打ち出したことが挙げられると思います。病棟診療に携わることで仕事のやりがいを感じてもらいつつ、一方ではチームメンバーによるサポートによって、無理なく仕事を継続してもらうことで、徐々に経験値を高めてもらうのが狙いです。今後も多くの後輩達が、彼女達に続いて活躍されることを期待しております。

リウマチの生物学的製剤が一段落したところで、今度は新たにSLEに対してミコフェノレート酸やクロロキンが保険適応となるなど、リウマチ膠原病診療はますます多様化、専門化しており、リウマチ膠原病専門医のニーズは、現場においてますます高まっています。当グループでは幸い毎年入局者がおりますが、まだまだ追いついていない状況です。今後もリウマチ膠原病診療の魅力を若者に発信すると共に、活躍の場を広げていきたいと考えています。

研究紹介

関節リウマチに伴う反応性アミロイドーシス

疾患活動性の高いコントロール不良の関節リウマチ患者に合併する反応性アミロイドーシスは、ひとたび症候性となると極めて予後不良であることが知られている。我々はこうした患者に対する生物学的製剤の積極的な導入によって、胃粘膜のアミロイド沈着が減少~消失すること、さらには生命予後を改善させることを明らかにした。

Amyloid deposition was markedly decreased after the initiation of infliximab in a patient with RA amyloidosis.
(Congo-red stain x200) Kuroda T et al. Rheumatol Int 2008
Changes in percentage amyloid-positive area in gastric biopsy specimens after introduction of anti-TNF therapy.
Amyloid-positive area was decreased in all 10 patients, and was completely disappeared in 3 patients. Kuroda T et al. J Rheumatol 2009
In our study, survival rate was significantly higher in RA patients with reactive amyloidosis who were treated with biologic reagents (biologic group, n=53), compared with those without biologic reagents (non-biologic group, n=80) Kuroda T et al. J Rheumatol 2012

ビスフォスフォネート製剤使用膠原病患者における大腿骨非定型不全骨折

ステロイド使用患者における骨粗鬆症の予防薬として、日本骨粗鬆症学会ではビスフォスフォネート製剤(BP)が第1選択薬として推奨されており、当科でも多くの患者に使用されている。当院整形外科との共同研究で、当科通院中の膠原病患者におけるBPの効果及び副作用について前向きに調査を行ったところ、従来稀とされて来た大腿骨非定型不全骨折の頻度が、約10%と極めて高率であることを明らかにした。

X-ray of the hip joints showing “beaking”, defined as localized periosteal thickening of the lateral cortex (white arrow). Sato H, Kondo N, et al. Osteoporos Int 2015.
Risk factors for beaking in patients with autoimmune diseases taking BPs. We revealed that younger age (40 to 60 years) and diabetes were significant positive risk factors for beaking. Sato H, Kondo N, et al. Osteoporos Int 2015.

全身性エリテマトーデスの長期予後

SLEの5年生存率は大幅に改善しており、近年では10年生存率も90%近く、それに伴い患者の長期予後を左右する合併症を防ぐことが重要視されている。我々はSLE患者458名の50年以上にわたる長期予後を検討し、2000年以降に診断された患者は欧米諸国と同様の良好な生命予後であること、また高血圧や骨粗鬆症などの長期合併症対策の重要性を、2015年アメリカリウマチ学会で報告した。

For patients diagnosed as having SLE before 1970, between 1970 and 1979, between 1980 and 1989, between 1990 and 1999, and after 2000, the 5-year survival rates were 71.4%, 83.1%, 94.5%, 93.4%, and 96.4%, respectively. Wada Y, et al. in submission.
In our examination, SDI (Systemic Lupus International Collaborating Clinics (SLICC)/American College of Rheumatology (ACR) Damage Index) was positively correlated with age, hypertension, and APS, whereas negatively correlated with administration of bisphosphonate. Wada Y, et al. in submission.

IgG4関連腎臓病に対するステロイド治療の効果と予後

IgG4関連疾患は全身の臓器に特徴的な線維化病変とIgG4陽性細胞の浸潤を来たす稀な疾患で、腎臓は主要な標的臓器の1つである。長岡赤十字病院腎・膠原病内科診療部長で当グループのOBである佐伯敬子先生は、IgG4関連腎臓病の第1人者として広く国内外で知られているが、今回日本国内における多施設共同研究で、IgG4関連腎臓病の治療に中等量のステロイドが有効であることを報告した。

Changes in eGFR before and after glucocorticoid (GC) therapy. eGFR was significantly improved at 1 month after the start of GC therapy and reached a plateau thereafter. The degree of improvement during the initial 1 month of GC therapy showed no significant inter-group difference (11.1 ± 11.9 ml/min in group L, 12.8 ± 10.5 ml/min in group H, p = 0.63). Group L; initial PSL≤0.6mg/kg, Group H; initial PSL>0.6mg/kg. Saeki T et al. Clin Exp Nephrol 2015.