新潟大学腎・膠原病内科

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研究について

糖尿病・腎代謝研究グループ

1. 臨床業務

保健管理センター鈴木芳樹教授が月曜日、機能分子医学講座特任教授の斎藤亮彦が水曜日、病態栄養学講座(昨年4月より開設)の細島康宏特任准教授が金曜日に、腎・糖尿病外来を担当しています。またその他にも、忰田亮平特任助教(病態栄養学講座)も腎・高血圧外来で糖尿病患者の管理を行っています。本外来の患者や他科・他院からの紹介の入院患者について、血糖コントロールや糖尿病性腎症による透析導入などを目的とした管理を行っています。第1および第3火曜(場合により第2、第4)の午後6時から、11階病棟学生教育室で症例検討と勉強会を行っていますので、どなたでもご自由にご参加ください。

2. 教育

私たちのグループでは、所属するメンバーが、腎臓専門医あるいは透析専門医とともに糖尿病専門医資格を取得することを目指しています。糖尿病患者は増加の一途をたどり、それに伴って腎症・腎不全患者も増えています。腎臓病は全身管理が重要であり、糖尿病診療において、そのような腎臓内科医の知識と技量は今後もますます重要であり、糖尿病患者を腎臓病・全身管理の面からトータルに診ることができる医師が医療現場で求められています。私たちのグループは日常臨床や勉強会を通して、そのような腎臓・糖尿病専門医の育成に励んでいます。さらに高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の管理をするうえで、腎臓の働きや腎臓病の病態を理解しておくことはたいへん重要です。そのような生活習慣病管理のスペシャリストを育成することも私たちの使命であると考え、大学病院における前期・後期研修プログラムを充実させるうえでも貢献しています。また、病棟実習や基礎配属の学生に対する教育にも取り組んでいます。

3. 臨床研究

「糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療(DNETT-JAPAN)」の多施設共同研究、「糖尿病における合併症の実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究—Japan Diabetes Complication and its Prevention Prospective study(JDCP study)」などの全国規模の臨床研究に参加しています。DPP4阻害薬についての臨床研究(JUMP study)の解析結果を論文にまとめているところです。さらに、歯学部と共同で「歯周病と生活習慣病・動脈硬化関連因子との関連性の検討」を行うとともに、「新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬が腎臓に与える影響に関する臨床研究」なども進行中です。

4. 学会の役員あるいは公的活動

鈴木芳樹教授は、2015年に発足した日本病態栄養学会をはじめ12の学会・団体からなる日本栄養療法協議会の日本腎臓学会の代表幹事となり、学会横断型の食事療法・栄養管理の標準化に関わることになりました。また、2017年の第29回日本糖尿病性腎症研究会を主幹されることになりました。

5. 産官学連携研究

この項以降は主に、機能分子医学講座(2015年に開設後12年目を迎えました)・病態栄養学講座の研究活動です。

デンカ生研株式会社あるいは親会社のデンカ株式会社付属のイノベーションセンターとともに、尿中メガリン測定法の開発を行い、各種腎疾患(慢性腎臓病あるいは急性腎障害)での臨床的有用性を検討中です。味の素製薬株式会社とはメガリンリガンド拮抗薬の特許出願を行いましたが、この研究も臨床応用につなげたいと考えています。

また昨年度より、前述の病態栄養学講座を主体として、亀田製菓株式会社、株式会社バイオテックジャパン、ホリカフーズ株式会社、佐藤食品工業株式会社との共同研究として、新潟県の支援も受け、慢性腎臓病における低たんぱく食の意義についての臨床研究をスタートしました。まずは、「慢性腎臓病患者における治療用特殊食品(低たんぱく質米)の使用がたんぱく質摂取量に与える効果に関する多施設共同無作為化比較試験」を開始し、低たんぱく質食事療法を行ううえでの低たんぱく質米の有効性を検証する予定です。

6. 基礎研究(トランスレーショナルリサーチ)

引き続き、近位尿細管上皮細胞のメガリンなどのエンドサイトーシス受容体およびそれらの関連分子の解析と、それを基盤にして糖尿病性腎症およびメタボリックシンドローム関連腎症の病因解明に取り組んでいます。高脂肪食負荷(2型糖尿病モデル)マウスにおける慢性腎臓病モデルにおいて、メガリンが腎毒性物質(脂肪酸含有タンパク質など)を腎臓に取り込み、尿細管から糸球体に至る慢性障害を引き起こす「入り口」を司る分子として機能していることを明らかにし、JASN誌に発表しました(Kuwahara S, Hosojima M (equal contr.), et al. Megalin-mediated tubuloglomerular alterations in high-fat diet-induced kidney disease)。この成果は、「腎臓病誘発の「入り口」特定」という見出しで新潟日報(2015年11月5日朝刊)にも採り上げられました。現在、そのような慢性腎臓病病態においてメガリンの機能を制御する治療薬の探索・解析に取り組んでいます。

また、呼吸器・感染症内科と取り組んでいる、メガリンを介する薬剤性腎障害の研究では、尿中メガリンが腎障害のハイリスク群の予測に有用である可能性が明らかになりつつあります。

これらの検討から、慢性腎臓病・急性腎障害において、尿中メガリンをコンパニオン診断薬に用いて、メガリン標的薬による予防・治療を行うというコンセプトで、近い将来の医師主導治験を目標に、現在、臨床研究を展開しています。

さらに、石川友美先生、後藤佐和子先生、飯田倫理先生、インドからの留学生Shankhajit Deさん、社会人大学院生 樋口裕樹さん(亀田製菓)、新潟県立大学出身の鳥羽宏司さん(修士)らの大学院生が精力的に研究に取り組んでいます。

7. 市民向け活動および他分野との連携

2008年より、「食と健康」について市民に情報を発信する活動、「新潟「食と健康」フォーラム」を展開しています。2015年2月には第7回目を開催し、荒川正昭先生からご講演を賜りました。現在は新潟市と連携して開催しています。

またこの活動の一環として行ってきた農学部との共同研究は、農林水産省のプロジェクト研究「農林水産物・食品の機能性等を解析・評価するための基盤技術の開発」(平成23~25年度)において「米タンパク質の新規生体調節機能性の先導的開発と機構解析」という研究課題の採択に発展しましたが、精製された米胚乳タンパク質のリン・カリウム含有量が低いことに着目して、血液透析患者を対象とした臨床研究を信楽園病院と共同研究で行い、現在論文を準備中です。このような研究が病態栄養学講座の設立にもつながり、その後も農学部との共同研究が継続しています。さらに、前述のように歯学部とも歯周病をめぐる共同研究も行っています。

 

今後も、オリジナリティーを大切にし、臨床的ならびに基礎的に活動の幅を拡げていけるよう、一同努力したいと思います。

(斎藤亮彦 記)