Youはどうして臨床病理へ?


『そういえば病理のことあまり知らないなあ・・・。』

『病理医もありかも・・・?』

『病理ってどんな感じなのかな?』

初期臨床研修中、いや、もしかしたら学生のときに、
ふと「病理」が頭をよぎったあなた、または現在進行形で検討中のあなたへ、
ベールに包まれている(?)「病理」について、
現在当教室に在籍している先生たちに、

「なぜここにいるのか?」
「病理学教室はどんなところなのか?」

などなど、生の声を聞きました。

【バックナンバー】

 第9回 阿部達也先生の場合
 第8回 田口貴博先生の場合
 第7回 医学研究実習中の医学部3年生のKOさん、KAさんの場合(番外編)
 第6回 アレクセイ・アンネンコフ先生の場合
 第5回 加藤 卓先生の場合
 第4回 渡邉佳緒里先生の場合
 第3回 谷 優佑先生の場合
 第2回 福田 睦先生の場合
 第1回 近藤修平先生の場合

第10回 佐藤 航(さとう わたる)先生の場合


初期研修中に病理はまわっておいた方がよいと言う先生がいました

2016年弘前大学医学部卒業。上越市の新潟県立中央病院で2年間の初期研修の後、2018年4月から当教室に在籍中。出身は新潟県見附市。

佐藤航先生


-こちらの教室に来られたきっかけを教えてください。

初期研修の2年目に、3年目以降の進路を考えないといけなくなり、病理と神経内科の二択まで絞ってから悩んでいました。8月にこちらの教室に見学に来たときに、教授に「決められなかったらサイコロを振って決めたら?」と言われました。その後も結局決まらず、それでサイコロを振り、こちらになりました。


-本当にサイコロで決めたの?

はい、本当にそんな感じです(笑)。


-病理にはいつ頃から興味を持っていましたか?

何がきっかけだったのかはわかりませんが、学生の時から病理に多少惹かれるものがありました。3年の病理総論・各論ではどちらも再々試験までしてもらって何とか進級させてもらえたという状況だったので、病理学は苦手だったはずなのに、4年前期の研究室研修では病理生命学講座にお世話になりました。確か研修希望講座は第7希望くらいまで記入欄があり、当時何を考えて希望調査を提出したのかも今は覚えていませんが(笑)。

また、学生時代にとある先生が、将来何科に進むにしても、初期研修中に1ケ月くらいは病理をまわっておいたほうがよいとおっしゃっていたと記憶しています。そんなこともあって初期研修で病理も選択しました。

私が初期研修をした新潟県立中央病院では内科必修6ケ月、選択必修3ケ月、救急2ケ月、地域医療1ケ月、自由選択12ケ月と比較的自由なプログラムでした。いろいろなところを見ることができるのはこれが最後だろうと考えて、広く浅く楽しんでいました。

病理部は1年目の3月にまわりました。顕微鏡というと、じっとしているのが耐えられない、酔うという人もいましたが、私は問題ありませんでした。それどころか顕微鏡で標本を見ることは、それまで見えていなかった世界を見ることができる面白さがありました。自分で診断を書いた後で指導医の先生と一緒に見て添削してもらうときに、同じ標本を見ているはずなのに見えている世界が違っていて、どういうふうに見えているのか興味が湧きました。

臨床医が提出した検体がどう扱われるか、依頼書にどんな情報を書いてほしかったのか、診断になぜ時間がかかることがあるのかなど、実際に見てみないと理解しにくい部分もありました。そのときの病理の先生も、将来病理医にならなくても研修でまわってほしいと話していました。

それから、病理部に頻繁に足を運ぶ臨床の先生も何人か見かけました。若い先生より年配の先生が多かったように思います。もしかしたら臨床の勉強を続けていくと病理が必要になるときが来るのかもしれないです。これも病理をまわって見えた部分だと思います。


-同期の研修医の先生は何人いて、そのうち何人くらいが病理をまわりましたか?

大学などから研修にきている研修医もいましたが、同期で病理をまわっていたのは自分だけでした。


-やっぱり少ないなあ。その後サイコロが病理を選択し、こちらに入局して5ケ月の現在はどんな感じですか?

今はまだわからないことだらけで、勉強が全然足りていない、勉強しなければという感じです。標本を見て教科書と同じような気がするけど、本当にそうなのか自信をもって答えられることが少ないです。

病理診断は、絵画を見てそれを電話で見ていない人に伝えるようだと感じることがあります。見ているものをどの言葉で表現するのか、どういう言葉を使うと誤解なく相手に伝わるのかも考えなければならない時があります。病気の勉強だけでなく言葉の勉強もしないと診断が書けません。言葉がうまく出ず、日本語が使えているのか不安になることもあります。

大変ですが、続いているのはどこかに面白いと思える部分があるのだと思います。うまくは説明できませんが、少しでも面白さを感じられなければ続かないはずですから。


-どうもありがとうございました!

(インタビュー日 2018年8月31日)



インタビュー後記 聞き手 教室パート事務員 A子

弘前大学の病理総論の試験は学生の半分は再試になるような試験で、とても大変な思いをしました。その当時を知っている友人に後期研修で病理の教室に行くことにしたと話したら、おまえ本当に病理に行くの?!と驚かれました、と笑顔で話す佐藤先生は、勉強が足りませんと言いながらもどこか楽しんでいる感じが漂っていました。初期研修で病理医を目指さなくても病理をまわってほしいという病理医の先生の意図は、佐藤先生の言葉から読み取れる気がします。研修で病理を回ってくれる人が増えるといいなあと思います。


新潟大学医学部 臨床病理学分野は人材募集中です!見学を希望される医学部学生さんや研修医の先生は、総括医長の高村佳緒里までお気軽にご連絡ください。025-227-2096/メール takamura@med.niigata-u.ac.jp)

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