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経食道心エコー法による周術期心機能評価

 経食道心エコー(TEE)は、現在の麻酔管理上のモニターとして心臓手術を中心に確固たる位置を占めています。それは低侵襲で、他のモニターと異なり、視覚的に血行動態を把握できるという強みがあるからです。しかし、心機能を"見た目"だけではなく、"測定する"という事になると、(一人の麻酔科医で)忙しい麻酔管理と並行して行うことは容易ではありません。せめて苦労して得たデータは意義のあるものであって欲しいわけです。
 頻繁に利用される心機能評価に駆出率(EF)があります。良く収縮しているかどうかの指標です。これは分かりやすく、医療人に広く知られているものですが、万能ではありません(特にTEEでは精度の高い測定法が不向き)。心臓は良く動いているが、なんとなく重苦しい様な印象があると、人工心肺からの離脱が難しいことや、術後血圧が下がり易かったり、肺に負担がかかり易かったりしてICUにいる期間が長くなることなど、周術期管理に苦労することがあります。逆に、動きは悪いがすこぶる順調に経過することもあります。これにはおそらく拡張能、つまりスムーズに心臓が広がっているかどうかという事が関連しているだろうと推測されます。ただ、この拡張能評価も刻々と状態が変動する手術中では、解釈が難しいという欠点があり、忙しい隙をついて計測する労力を割くだけの確かなbenefitがあるかが課題です。

 

経食道心エコー法による周術期心機能評価 以前から、"短時間で簡単に収縮能も拡張能も得られ、しかも周術期予後を正確に反映する心機能評価方法があったらな"、という思いがありました。global function、つまり見た目の印象を数値で表す方法です。そこでここ数年広まって来た組織ドプラ法(心筋速度情報を検出する方法)を用いて、周術期の心機能評価に有効かどうかの臨床研究を始めたところです。臨床研究の性質上、制限や困難も多々ありますが、何とか形にして世間に発信したいと考えています。

(今井 英一)

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