脳・脊髄虚血班
何らかの原因で脳や脊髄に血液が供給されなくなった状態を、脳虚血・脊髄虚血といいます。虚血に陥った神経細胞は、やがて完全に機能を失い、血流が再開しても元に戻ることはありません。血流が遮断されていた時間や範囲によって、その後の神経症状や後遺症などの程度が決まってきます。
この「虚血」という脳や脊髄に重大な傷害を与える現象に対して、様々な観点から研究を行うことにより、その傷害の軽減や予防の可能性を探ることが神経虚血研究班の目標です。
具体的な研究内容として、脊髄虚血における各種麻酔薬の作用を調査しています。心臓大血管手術における合併症の一つに、脊髄虚血による対麻痺の発生があります。周術期管理において麻酔科医は鎮静薬や鎮痛薬を駆使して全身麻酔の状態を作り出しますが、これらの薬剤が脊髄の虚血病態においてどのような影響を及ぼすのか、電気生理学的な手法を応用して、その作用を細胞レベルで検討しています。