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第34回インフルエンザ研究者交流の会シンポジウム2日目(我妻奎太さん)

2021年7月2日
第34回インフルエンザ研究者交流の会シンポジウム
一般演題4疫学2にて、我妻奎太さんが
『RSウィルス感染症の減少は、新型コロナ流行下の公衆衛生介入と関連している』
という演題名で発表しました。

以下抄録になります。

【目的】本邦では2020年にRSウイルス感染症(RSV)が激減したが、それには新型コロナ感染症対策としての公衆衛生的介入が影響を与えた可能性がある。
【方法】感染症発生動向調査(NESID)に報告された週別のRSV定点当たり報告数(RSV報告数)を7年間(2014~2020年) 収集して、月別に集計した。2020年のRSV報告数を、月別の対差t 検定を用いて、過去6年間(2014~2019年)の対応する期間の平均値と比較した。次に、一般化線形ポアソン回帰モデルを用い、月別のRSV報告数について、気象条件と季節変動を補正し、手指衛生用品の販売額や、国際線・国内線航空旅客数との関連を、時系列的な遅延時間(ラグ)を加味して検討した。手指衛生用品の販売額は経済産業省「化学工業生産統計」、国際線・国内線航空旅客数は国土交通省「航空運輸統計」、気象条件(月平均気温、相対湿度)については、気象庁HPから抽出した。
【成績】2020年の月別の平均RSV報告は、過去6年間と比較して約85%減少した(P<0.001)。一般化線形ガンマモデルでは、1か月前の手指衛生用品の販売額が10億円増加するごとに、月別のRSV報告数が0.17%(P=0.01)減少した。1か月前の国際線・国内線の航空旅客数が1,000人増加するごとに、RSV報告数がそれぞれ0.5×10^-3%(P<0.001)および1.2×10^-2%(P<0.001)増加した。
【結論】本研究により、日本におけるRSVの減少は、衛生対策・渡航制限と強く関連していることが示唆された。季節性インフルエンザなどの他の呼吸器感染症も同様に公衆衛生的介入の影響を受けている可能性がある。

我妻さんはつい先日、日本臨床ウイルス学会にて発表したばかりですが、
本日、インフルエンザ研究者交流の会シンポジウム2日目にも発表しました。
我妻さんに【連日の発表となると、だいぶドキドキ緊張しなくなったのでは?】と聞いたところ、
今回も多くは語りませんでしたが、【発表は連日続いても緊張します。。】と言っていました。
今日は金曜日、週末はゆっくり休んで下さい。
お疲れ様でした🌴

byやまざき

2021-07-02 | Posted in What’s New, ブログ|BlogComments Closed