心身医学(心療内科)研究グループ

1996年に『心療内科』の標榜が認められてから、学級崩壊、バブル経済崩壊、ひきこもり、格差社会、勝ち組‐負け組、経済停滞、震災被害、原発事故、新型コロナウィルス感染症などの社会の出来事とも関連し、“こころのケア”への関心が高まっています。
当科の心療内科医は、内科領域などの身体疾患における心身相関を理解し、診断、治療、研究する内科医です。患者さまに対して、身体的、心理的、社会的視点を持って全人的医療を行っています。私たちは『心も診られる内科医』を目指しています。
下記のような患者さまが受診しています
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高血圧、糖尿病、緊張型頭痛、過敏性腸症候群、摂食障害、パニック障害など
臨床
心身医学のもつ一般性
具体的な治療については、一般的な内科療法、傾聴、環境調整、薬物療法(抗不安薬・抗うつ薬)などが基本です。
心身医学のもつ専門性
さらに、心療内科で行う専門的治療として、交流分析療法、自律訓練法(リラクセーション法)、バイオフィードバック療法などです。
研究
現在までの主なものです。
- 気管支喘息患者のQOL
- 気管支喘息患者の換気応答
- 身体疾患患者の「うつ」の質問紙による調査
- 関節リウマチ患者の痛みと睡眠の質
- 糖尿病患者の血糖コントロールと心理的因子など
- 透析患者のQOL・睡眠・抑うつ感など
- 歯科領域の慢性疼痛における心理的因子の関わり
- アスリートの睡眠・抑うつ
- 漢方医学所見と不安・抑うつ
- 看護師のヒヤリハットと睡眠・バーンアウト
受診を希望される方へ
- 初診は完全予約制です。内科外来へお問い合わせください。
- 初診の際は紹介状をご持参下さい。
- 予約人数が多いため、2回目以降の受診は10分間ほどの診察時間になります。何卒ご了承下さい。
- 入院治療は、現時点では原則行っていません。
医療機関の方へ
心身症(Psychosomatic disease:PSD)の定義について
心身症の定義は、「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいいます。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に 伴う身体症状は除外する。」です。よって、明らかに精神疾患が考えられる場合は、まずは精神科への紹介をお願いします。
- 当グループでは、患者さまの身体疾患に合併した「うつ状態」は診療しています。 ただ希死念慮のある場合などは、早期に精神科に紹介しています。
入局を考えている方へ
心療内科は決して特殊な分野ではありません。医師であれば誰もが経験するであろう、身体を病んだ患者さまのストレス、あるいは心理的問題によって身体の具合が悪くなっている患者さまの医療を担当しています。私達は、内科医としての、というより、医師として必須のプライマリー分野と考えています。
言うまでもなく、心療内科医は内科医ですので、身体疾患に対応する力が必要です。その点、当科では、呼吸器・感染症疾患をはじめ、必要に応じ腎臓、膠原病、糖尿病などの分野でも、内科医としての十分な知識、技量を修得することが可能です。その上で、さらに心理、精神的諸問題について対処する力を涵養することができます。
日々の外来において、各臓器別内科の専門的治療ではなかなか病状が改善せずに、心療内科に紹介されてきた患者さまと対話する時に、心療内科に対する患者さまからの期待が大きいことを実感しています。私達は、心身相関の病態を追及し、なんとか治療に役立たせたいと考えています。
当大学病院(当科)は日本心療内科学会・心身医学会認定の研修施設であり、研修により専門医の資格を取得できます。