腫瘍外科学を専攻して以来、取り組んでいる研究テーマは「R0(遺残腫瘍の無い)手術の確立」です。基礎的研究により癌の進展様式・分布および“微小転移巣”の実態を解明し、腫瘍学的見地から根治性を向上させた術式を考案し、一貫して「術後の再発、癌遺残の根絶方法を開発して世界に発信する」という一念で外科診療を行っています。医学研究では、臨床における未解明な問題点を明らかにし、基礎研究とデータの積み重ねが重要です。研究志向を持ち、すべての研究は遠い将来であっても必ず臨床にフィードバックされるべきであると信じています。
近年、医療は急速な進歩を遂げています。外科医は単に手術に特化した仕事を職業とするのではなく、癌発生の原因である遺伝子変異を理解し、ゲノム情報を基盤とした薬物療法、放射線療法を駆使し、外科手術と組み合わせて、腫瘍外科学の立場から癌治療を行っていくべきです。Precision Medicine、Precision Cancer Medicineは科学の進歩とともに必然性を持って生まれ、確実に医療現場にがん治療革命をもたらすことでしょう。
私は、3つの“R”:residual遺残腫瘍ゼロ、recurrence術後再発ゼロ、regional medicine地域医療をスローガンとして掲げ、世界に打って出ることと、慣れ親しんだものを大切にすることは、両立するという強い信念を持って、新潟から世界へ向けて研究成果を発信し続ける人材の育成に尽力する決意でいます。今後も医学研究を通じてエビデンスを創出し、世界へ向けて研究成果を発信し続ける人材の育成に貢献し、活気あふれる学問の場を提供し続けていきたい。そして、若手外科医の集まる魅力的な教室創りをし、若手を大切に育てていきたいと考えています。