がん研アカデミー2024 胃外科 研修報告
2020年卒の廣井 颯と申します。
2024年7月1日〜2日の2日間、がん研アカデミー2024 胃外科に参加しましたので、研修報告をさせていただきます。
初日はがん研スタイルMISと題して、がん研有明病院 胃外科スタッフの李 基成先生による講義を拝聴いたしました。
手術動画を交えながら、腹腔鏡手術のポート配置から手術の手順とそのコンセプト、そして実際のPit fallまで詳細に解説いただき、私にとっては目から鱗の内容ばかりで、夢中でメモをとっておりました。
その後にビデオクリニックが行われました。
参加者が、自分の腹腔鏡手術あるいはロボット手術のいずれかの胃切除の手術動画をがん研のスタッフの先生方に提示し、それを元に議論するというものでした。
私は最初にロボット支援下胃切除のクリニックに参加しました。当科の宗岡悠介先生が手術ビデオを提示され、幕内梨恵先生がコメンテーターを担当されておられました。宗岡先生が現在、実際に悩んでいる術中の局面や手術操作の細部に対して、幕内先生が的確に指摘されている場面が印象的でした。

二件目は、他県から参加の内視鏡技術認定未取得の先生による腹腔鏡手術ビデオの提示を拝聴しました。
入野誠之先生がコメンテーターを担当されており、実際に技術認定の合否を判断する目線からの指摘を多く聞くことができ、大変勉強になりました。
私自身はまだ腹腔鏡下胃切除の部分術者しか経験がありませんが、自分と学年の近い先生がビデオを提示して、がん研のスタッフの先生方と議論されている姿は大変羨ましく感じましたし、自身の手術ビデオが提示できれば、より得られるものがあったかなと思いました。
初日のセミナーはあっという間に時間が過ぎて終了し、その晩は胃外科部長の布部創也先生が懇親会を企画してくださり、他の参加者の先生方と交流する機会があり、こちらもまた有意義でした。翌日もありましたのでビールは程々にして床につきました。

2日目はがん研 消化器外科の朝の全体カンファレンスの見学から始まりました。
レジデントによる術前症例のプレゼンテーションが英語で行われておりましたが、多数の著名なスタッフの先生方からの鋭い指摘が入り、詳細な検討が行われている印象を受けました。
続いて手術室に移動し、布部先生執刀の腹腔鏡下幽門側胃切除術を見学しました。丁寧かつスピーディな操作で、助手を上手く指導しながら術野を展開している姿が印象的で、手術時間は2時間台でした。これが日本トップクラスの手術なのかと、一瞬一瞬を噛み締めながら見学しておりました。
その後は速水 克先生執刀のロボット支援下噴門側胃切除術を見学しました。噴門側胃切除術は難易度が高い手術だと認識していますが、正確な手技はさることながら、助手の先生や器械出し・外回りの看護師さんとの連携も抜群だと感じました。腫瘍の局在が高位の食道胃接合部癌の症例でしたが、6時間台で手術は終了し、2日目の手術見学プログラムもあっという間に終了となりました。
日本だけでなく世界を股にかけて活躍されている先生方の手術を堪能させていただきました。
Web上で閲覧可能な手術動画だけでは感じ取れないような実際の現場での緊張感やスピード感を体感でき、もっと手術がしたい、もっと上手になりたいと強く感じました。
がん研の先生方のような達人レベルの領域に達するのは並大抵のことではありませんが、少しでもその距離を詰められるように日々過ごしていきたいと思っております。
最後になりますが、素晴らしいセミナーを開催してくださったがん研有明病院の先生方と、参加を許可してくださった若井俊文教授を始め、新潟大学の先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
文責:廣井 颯
