教室だより

ヨーロッパ留学記④:イタリア・パドバ大学、オランダ・Amsterdam UMC

【ヨーロッパ留学記④: Amsterdam UMC~Erasmus MC~観光篇】

 Besselink教授には、全く面識のない日本人外科医からの依頼にもかかわらず留学をご快諾いただいた上、到着後の週末には教授主催のホームパーティにまでお招きいただきました。医員・医局秘書・オペ室スタッフ・大学院生など40~50名ほどが集まり、ご自宅の庭でBBQとビュッフェ形式の食事を楽しみました。ご自宅は、水路、風車、古い城跡、跳ね橋など、オランダらしい景観に囲まれた郊外の高級住宅地にありました。50人が集まってもあまりある広い芝の庭、リビングには巨大な鹿の角付き剥製など、まるで映画に出てくるような邸宅でした。帰宅後、夜に教授からWhatsAppにご連絡があり、私のバッグが教授宅のお庭に残されていたことが分かりました。翌日土曜の朝に教授に再度ご連絡し、午後にご自宅にお邪魔しました。すぐに失礼するつもりでしたが、「午前にそこの水路でスループ・ローイエン(手漕ぎのボート競技)の練習を終えたところで、午後は時間があるからゆっくり話そう」とおっしゃっていただき、広い芝の庭で二人でジュースを飲みながらお話しする、という稀有な経験をさせていただきました。この機会のおかげで、Besselink教授のご家族や私の家族について、私の研究やBesselink教授主催の研究について、ゆっくりお話しすることができました。Besselink教授は身長が高いだけでなく体格がよく、野球部のような豆だらけの手なのですが、毎週末にボート競技を行い、毎日30分かけて自転車で通勤していると伺い、その理由がわかりました。イタリアのGiovanni教授と進めている国際多機関共同研究にご参加いただいていることへのお礼も直接お伝えできました。また、現在Amsterdam UMCが主宰している前向き国際多機関共同研究に参加するのはどうか、というお誘いもその場でいただきました。特に、30人もの大学院生をどのように教育しているか、国際多機関共同研究を成功させるために何が必要かを直接お伺いできたことは、今回の留学における大きな収穫でした。

 最終週は、Besselink教授が不在であったため、30分ほど離れたロッテルダムのエラスムス医療センターに勤務するBas Groot Koerkamp教授をご紹介いただき、同院でロボットPDを見学しました。エラスムス医療センターは、オランダでAmsterdam UMCとトップを競う医療機関で、Bas教授も著名な肝胆膵外科医です。肝内胆管癌・肝門部胆管癌・肝移植にもかなり力を入れており、肝移植は年100件以上行うhigh-volume centerで、ヨーロッパでも上位の症例数を有しています。31階建ての研究棟、27階建ての医学部、14階建ての病棟があり、その規模に圧倒されました。ロボットPDは、Amsterdam UMCと似たポート配置と手順でしたが、細部にBas教授の工夫があり、非常に勉強になりました。胆道癌診療についても、日本、特に名古屋大学の研究に精通されており、現在の胆道癌の治療について、Bas先生のご意見や日本の現状についてお話しするお時間をいただき、貴重な機会となりました。

 休日は、アムステルダムだけでなく近郊の町まで足を延ばしました。オランダは著名な芸術家を多数輩出し、世界的な美術作品を多数所蔵しています。アムステルダム国立美術館では、レンブラントの「夜警」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」を鑑賞しました。ゴッホ美術館では「ひまわり」「寝室」、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館では、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」「デルフトの眺望」を鑑賞しました。また、フェルメールの生誕地であるデルフト、ロッテルダムにあるデポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲンなども訪れ、オランダ美術の豊かさを実感しました。また、オランダと言えばミッフィーです。オランダ名は、konijntje(小さなウサギ)に由来するnijntje(ナインチェ)です。ナインチェ・ミュージアムでお土産を買うため、作者ディック・ブルーナゆかりの地であるユトレヒトの町を訪れました。ほかにも多くの経験がありましたが、留学体験記としてのご報告はここまでとさせていただきます。

 改めて、このような貴重な機会をいただきました若井俊文教授・坂田純先生・滝沢一泰先生をはじめ、医局の諸先生方、書類準備などで大変お世話になった秘書の新田見さん・木本さん・北村さんに感謝申し上げます。また、がん研の2年間に続き、今回も子供3人を任せて1か月間のヨーロッパ留学を支えてくれた妻には、感謝しかありません。この経験を生かし、臨床では新潟県における高難度ロボットPDの発展に貢献するとともに、教育では次世代の肝胆膵外科医の育成に尽力したいと考えております。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

(文責:助教 廣瀬雄己)

写真1:国立アムステルダム美術館

写真2:国立アムステルダム美術館の図書室

写真3:Erasmus医療センター

写真4:Bas Groot Koerkamp教授と筆者

写真5:フェルメール「真珠の耳飾りの少女」

写真6:ナインチェ・ミュージアム前