人工透析医療の合併症「透析アミロイドーシス」に新リスク因子を発見 −血中の血清アルブミンを高濃度に保つことがアミロイドーシス予防のカギ−
大阪大学国際医工情報センターの後藤祐児特任教授(現・大学院工学研究科、特任研究員)・中島吉太郎特任研究員(常勤)(現・大学院工学研究科、特任助教(常勤))、新潟大学医歯学総合病院の山本卓准教授らの研究グループは、新潟薬科大学、福井大学と共同で、人工透析医療の合併症である透析アミロイドーシスと呼ばれるアミロイドーシスの発症機構を蛋白質科学の手法で研究しました。
透析アミロイドーシスは、人工透析を受ける患者に特有の病気であり、透析治療を長期間にわたり受けた患者に発症する合併症です。これまでの研究から、β2-ミクログロブリンと呼ばれる蛋白質のアミロイド線維がこの病気の原因であることが明らかになっていましたが、どの患者が体内でアミロイド線維ができやすく、この病気が発症しやすいかを予測することはできませんでした。
今回、後藤特任教授らの研究グループは、独自開発したアミロイド誘導装置(HANABI-2000)により、透析患者等から採取した100検体以上の血清を用いた実験を行い、血中の血清アルブミンの量が減少することで、β2-ミクログロブリンのアミロイド線維が形成されやすくなることを解明しました。これまで、人工透析を受ける患者の体内で血清アルブミンの量が減少することは知られていましたが、これが透析アミロイドーシスの発症機構に関連すると考えられたことはありませんでした。新たな関連因子の発見により、人工透析を受ける患者の合併症を予防し、透析医療のさらなる発展に貢献することが期待されます。
本研究成果は、Nature Research が提供するオープンアクセス・ジャーナル Nature Communications に、2022年10月3日(月)18時(日本時間)に公開されました。
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本研究科の共同研究者
大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学分野
成田一衛 教授
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内容は以下のPDFをご確認ください。
人工透析医療の合併症「透析アミロイドーシス」に新リスク因子を発見 −血中の血清アルブミンを高濃度に保つことがアミロイドーシス予防のカギ−(PDF)