医学部長(医学科長)メッセージ

「社会から求められる医学部」を目指して

新潟大学医学部医学科のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。

医学部長・医学科長
佐藤 昇

新潟大学医学部医学科は、1910年(明治43年)官立新潟医学専門学校としてスタートしてから1万人以上に上る数多くの卒業生を社会に送り出してきています。官立新潟医学専門学校の理念は「医師の養成は、専門学校を以て満足すべきにあらず」であり、これは医師として医療を行うための医学知識や診療技術を学ぶだけではなく、更に発展させるために幅広く学問を修め、病める方とそのご家族、地域、社会に寄り添う気持ちを持ち、医療人としてのあり方を追求するといった、医学に携わる者としての覚悟と高みを目指す気概に満ちています。今日の新潟大学医学部医学科は、この伝統を受け継ぎ「医学を通して人類の幸福に貢献する」という理念のもと、医学研究を推進し、医学の様々な分野で全国各地・世界各地で活躍できる人材育成を推進し、市民の皆様や地域、国際社会に対して貢献していくことを重要な使命としております。

これからこれまで経験したことのない超高齢社会を迎える日本において、医療ニーズも大きく変わることと思います。予期せぬ天災などに対応を迫られることもしばしば訪れるでしょう。また2019年(令和元年)末に出現したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のような人類に未知の課題が今後も次々と出現してくることも予想されます。これらの社会構造や環境の変化に対応して、あるいは医学・医療における未知の領域に迫る上で、デジタル技術や人工知能などの新しいテクノロジーを駆使して医学研究を発展させていくことが益々重要になります。これからの未来に訪れる変化は、これまで経験のないものも多く含まれるでしょう。未知の課題に取り組むためには、目的意識は共有しつつも個性的で多様な人材、問題解決能力の豊かな人材の育成が欠かせません。また、そのためには様々な難題を乗り越える必要があり、異なる背景を持つ世界中の様々な機関や人々と協働していく必要があります。教職員一体となって、これからを担う若者の知的好奇心を大切にし、思いやりと感謝の気持ちを持った医師・医学研究者を社会に送り出していきたいと思います。

大学というアカデミアは社会の皆様からは近寄りがたいイメージを持たれているかもしれませんが、医学は医療という実際の現場を通じて、地域・社会の皆様と大きく関わる分野です。これまでも私どもの活動に多くの皆様から多大なご支援をいただき、改めて御礼申し上げますとともに、医学研究、人材育成などを通じて、できる限り社会に還元していくことを目指していきたいと思います。信濃川と阿賀野川が造る自然豊かで実り多い越後平野に位置する新潟は、日米修好通商条約により開港した5港の一つを有し、古くから海外との交流が行われてきた歴史を持ちます。これまで以上に皆様との意見交換や情報共有を図り、この地から世界に向けて発信する医学部医学科として更なる発展を目指してまいります。