新潟大学医歯学総合病院 新潟大学眼科

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DIVISION OF OPHTHALMOLOGY AND VISUAL SCIENCE,
GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL AND DENTAL SCIENCES,
NIIGATA UNIVERSITY

教授からのメッセージ

新潟大学眼科 教授
福地 健郎
Fukuchi Takeo

新潟大学医学部眼科学分野(以下、新潟大学眼科)は、明治43年(1910)に新潟医学専門学校の創立と同時に設置され、2021年で開設111年を迎える日本国内でも長い歴史と伝統をもつ眼科学教室の一つです。2012年から第六代教授を務めております福地健郎(ふくちたけお)です。

動物は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といったいわゆる5感によって外界からの情報を受け取っています。ヒトの場合は、その中でも視覚、つまり目から入ってくる情報量が多く、80%以上が視覚を通して得られていると考えられています。見る能力を表す言葉として視力がよく知られています。実際にはピントを合わせる能力(調節)、色を判別する能力(色覚)、明暗(コントラスト)に対応する能力、両目で見る能力(両眼視)、立体的に見える能力(立体視)、見える範囲(視野)などなど、視力以外にも様々な能力が複合的に働いて私たちは物を見ています。私たち眼科医の仕事、使命は、この「見る」能力を守ることを通して、皆様の生涯の高い生活の質を守ることにあります。

新潟大学医歯学総合病院は新潟県内にある唯一の大学病院で、病床数800床の大病院です。地域の医療にとって重要な中核病院であり、幅広い領域の重症患者様の治療に当たっています。眼科も例外ではなく、県民の皆様に質の高い眼科医療を提供することが私たちの大切な使命のひとつです。新潟大学眼科では様々な世代に増加する多くの目の病気に対して適切な治療を行えるよう、緑内障、網膜・硝子体、角膜・ぶどう膜・感染症、神経眼科・小児眼科、腫瘍・形成、ビジョンケアといった眼科の広い領域をカバーする専門外来を開いています。マンパワーには限りがあり、すべての眼科医療を私たちだけでできる訳ではありません。私たちは新潟県内の病院、開業のたくさんの眼科の先生方と連携し、分担して新潟県の皆さまの眼科診療に当たっています。

一方、新潟大学眼科は古くから緑内障を主な専門とし、日本国内では最も古くから緑内障を専門としてきた大学眼科と言われています。現在でも日本を代表する緑内障専門眼科のひとつで、新潟県内の患者様に留まらず、山形県、福島県といった隣県からもたくさんの患者様をご紹介いただいています。緑内障の患者様はたいへんに多く、日本国内では40歳以上の20人に一人が緑内障に罹っているというデータがあります。軽症なうちには症状を自覚することがむしろ難しい病気ですが、重症化してしまうとある時期から急激に症状は悪化し、生活にも不自由を来してしまうことになります。高齢になってからの生活の質(QOL)を害する可能性がある代表的な目の病気です.超高齢化時代を迎えた日本にとっては、まずます緑内障の治療と管理の重要性が増していいます。私たちは緑内障の診断、治療、管理の進歩を担うための研究活動とともに、地域の眼科医療機関の先生方、スタッフの方々と協力し、啓蒙活動や検診活動など社会的活動にも努めています。

日本は超高齢化時代を迎え、ますます眼科の重要性が増しています。近年、眼科の検査装置や治療技術は大きく発展し、極めて微細な病変を初期の段階で発見して治療できるようになってきました。新潟大学眼科に所属する眼科医のひとりひとりは、すべての世代の方の「見る」を守る治療と研究に、これからも日々努力していきたいと思います。