新潟大学医歯学総合病院 新潟大学眼科

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DIVISION OF OPHTHALMOLOGY AND VISUAL SCIENCE,
GRADUATE SCHOOL OF MEDICAL AND DENTAL SCIENCES,
NIIGATA UNIVERSITY

ビジョンサポート

現代医学は急速に進歩していますが、力を尽くしてもなお治せない眼・守れない眼があることを我々は謙虚に認めなくてはなりません。眼科医療は、見えにくい、または見えない眼で今後を生きていく方々の人生をサポートし、リハビリテーションにつなげてゆく責任も担っています。

ビジョンサポート外来は眼が見えにくくなって日常生活に困難や不安を感じているかたのための外来です。眼の状態も生活で困ることもひとりひとり異なりますので、充分な時間をかけて困難の解決・軽減の方法をご本人とともに考えてゆきます。

具体的には拡大鏡や拡大読書器など、見え方を助ける補助具の選定・処方や使用訓練、書字練習、日常生活を助ける便利な道具類の紹介、日常生活上のアドバイス、福祉サービスの情報提供や福祉サービス活用に必要な診断書の作成などを行います。また、眼科のみでは対応ができない歩行訓練や日常生活訓練、音声機器による読書、就労支援といった分野では積極的に外部の他分野の専門家と連携をとりながら対応を行っています。

また、近年はスマートフォン、タブレット端末、スマートスピーカーといった「ICT機器」が見えにくい方の日常生活に非常に役立つようになってきています。しかし、こうした機器は「見えにくい方のための使いこなし方法」を知らないとせっかくの便利な機能を使うことができません。ビジョンサポート外来では月1回、「新潟市障がい者ITサポートセンター」からICT機器を障がい者のQOL向上につなげる専門指導員にICT機器のデモや個別指導をしていただいており、非常に好評です。こうしたICT機器を用いた視覚障害のリハビリテーションは近年「デジタルビジョンケア」と呼ばれています。

見えにくいために日常生活に支障をきたしている方を「ロービジョン」と言います。 ※ロービジョンについては下記リンクをご参照ください。    
日本眼科医会 ロービジョンケア・サイト 

「ロービジョン」の方は非常に大勢おられ、当外来のみで県内のすべての方に対応することは不可能ですので、担当医は「ロービジョン」への眼科的対応である「ロービジョンケア」を広めるため、県内の眼科医への啓発活動にも力をいれています。 また、担当医は2013年以降、視覚障害関連の各分野の専門団体による連携組織「新潟県視覚障害リハビリテーションネットワーク(通称:ささだんごネット)」の代表も勤めており、「ささだんごネット」の情報提供リーフレット普及にも尽力しています。  ※ささだんごネットHP  

ビジョンサポート外来受診をご希望の方はかかりつけの眼科主治医にご相談ください。 (受診には新潟大学眼科への紹介手続きが必要となります)

(文責:張替涼子)

 

1. 拡大鏡の例

視機能やニーズにあわせて選択し、使用方法を指導し、有用性を確認したうえで処方する

2. LEDライト付拡大鏡

レンズによる拡大効果にLED照明による文字のコントラスト増大効果が加わり有用性が高い拡大鏡。高倍率になるほど使用方法の指導が重要となる。

3. 拡大読書器

据え置き型と携帯型があり、視機能とニーズに合わせて選択する。 快適に使うためには使用訓練を行うことが大切であり、視野障害の強い方は必須である。

4. 遮光眼鏡

外見上はサングラスであるが、レンズは短波長の光を選択的にカットする作用をもっているため、眼疾患による病的な眩しさや光による視力低下(羞明)を軽減する。羞明の強さや使用環境に応じた色を選択する。

5. 読書速度測定

文字サイズと読書効率の関連を調べるための検査。適切な視覚補助具倍率を選択する目的で行う。

6. デジタルビジョンケアの例

 

7. 眼科外来受付前に設置した情報提供コーナー

県内の視覚障害リハビリテーション資源を紹介するリーフレット等を中心に、見えにくくなった方に役立つ情報を常に提供している