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日本医師会医学賞
平成24年11月1日、医学上重要な功績を挙げた医師に授与される「平成24年度日本医師会医学賞」の授賞式が行われた。本年の受賞者として本学大学院 医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野教授、高橋公太がその栄誉に輝いた。」
今回受賞した研究テーマ「ABO血液型不適合腎移植への挑戦 –免疫学的禁忌の克服と臨床応用の普及−」は彼の長年のライフワークである。

その概要について触れると、腎移植は、末期腎不全の根治的な腎代替療法であるが、わが国では欧米諸国に比べて献腎提供が極端に少ないため、腎移植を受けることのできる患者は限られている。彼は、腎移植の適応を拡大する目的で1989年、わが国で初めてABO血液型不適合腎移植を成功させた。
Karl Landsteinerが1901年にヒトに血液型があることを発見して以来、血液型の異なる移植をするとただちに超急性拒絶反応が発生して移植腎機能が失われるので、免疫学的に禁忌とされてきた。移植免疫学の前に立ちはだかるこの問題は、あまりにも高く大きな障壁であったため、世界では誰一人して面と向かってこの問題を解決しようとはせず、あえて避けて通ってきた。

彼は、この大きな課題に正面から真剣に取り組み、日常医療として定着させることを最終目標に掲げ、多数の症例を詳細に検討した。そして疫学的、集学的手法を用い、さらに臨床的イノベーションを繰り返し、探索的研究(translational research)を実践し、最終的に免疫学的禁忌とされてきた超急性拒絶反応を克服し、その治療戦略を確立した。
その結果、ABO血液型不適合腎移植の成績は飛躍的に向上し、現在では適合移植の成績と同等になっている。年間の症例数でも献腎移植数を超え、生体腎移植の約30%を占めるようになり、わが国では、今日まで通算2500例以上の末期腎不全患者がこの移植の福音を受けている。

特に小児例(慢性腎不全患児)では、成長・発育の面から腎移植が必須であるが、両親が腎提供を熱望しても、血液型が不適合であると移植を諦めざるをえなかった。しかし、この移植が可能となり、成人よりも成績が良好なこともあり、いち早く普及している。
第65回日本医師会設立記念医学大会 平成24年11月1日
この移植における治療戦略は、700例以上の肝移植や、膵移植にも臨床応用され、さらに他の臓器移植にも広がりをみせつつある。今後はあらゆる同種臓器移植にも適応され、その手技や治療法は、既存抗体陽性例や、異種移植にも応用されることは間違いのない事実である。

高橋は、このように既成の移植免疫学に一石を投じ、ABO血液型不適合腎移植を学問的体系まで高めた。いまや不適合腎移植は、名実ともにわが国より世界に胸を張って発信できる数少ない臨床研究の一つになっている。
日本医師会医学賞は国内の医学分野では最も権威のある賞の一つである。新潟大学の研究者の受賞は昭和57年以来実に30年ぶり、通算4人目であり、臨床医学分野では新潟大学初の快挙である。
日本医師会医学賞受賞式 日本医師会長の横倉義武先生から賞状が授与された
高橋の就任以来、本学では通算約350例の腎移植を施行しており、その成績は国内外でもトップクラスである。海外に比べてわが国ではまだ十分に普及しているとはいえない臓器移植学の分野において、当教室は臨床面、研究面において今後も高いモチベーションを維持し、わが国の移植医療をリードすることが求められている。

今回の受賞はわが国、そして世界の移植医療におけるさらなる研究の発展に寄与するばかりでなく、安心・安全な医療の普及、提供の一助となるものと考えられる。