免疫・医動物学

1.研究概要

 免疫系は病原体や外来異物から我々のからだを守り、生きていくために不可欠の[生体防御システム]であると同時に、アレルギーや自己免疫疾患、癌などのさまざまな疾患とも深く関連している。当分野では、免疫記憶を担う獲得免疫系が効率よく働くために必要なリンパ節をはじめとする免疫臓器(二次リンパ器官)の構造と機能を中心とし、組織微小環境内における免疫細胞とストローマ細胞との相互作用に注目した研究に取り組んでいる。特に二光子励起レーザー顕微鏡を用いた生体イメージングにより、免疫細胞の移動や局在と組織環境の関連を追求し、免疫系のダイナミックな振る舞いを重視した研究を進めている。
 詳しい研究内容については、免疫・医動物学ホームページをご覧ください。

2.研究テーマ
  • 2-1. 二次リンパ器官の構造と機能
    リンパ球をはじめとした多様な免疫細胞が集中するリンパ節や脾臓、粘膜リンパ組織などの二次リンパ器官の構造と機能の関連を明らかにする。
  • 2-2. ストローマ細胞の性質と機能
    二次リンパ器官において免疫細胞が種類ごとに配置された組織区画をそれぞれ支持している異なるストローマ細胞の性質と機能を明らかにする。
  • 2-3. 免疫細胞−ストローマ細胞間相互作用の分子機構
    組織の構造の形成や機能を発揮する過程で、免疫細胞とストローマ細胞により産生される機能分子と、それらによって行なわれる情報交換のメカニズムを解明する。
  • 2-4. 組織微小環境内の免疫細胞動態
    ストローマ細胞やそれらによって産生された生理活性因子により形成された三次元的な組織微小環境のなかで、活発に移動・活動する免疫細胞を二光子励起レーザー顕微鏡を用いた生体イメージング技術により観察し、その動作原理を明らかにする。
3.研究の成果と課題

[内容]
 我々はこれまでに、二次リンパ器官の組織構造や免疫機能を支えるストローマ細胞の性質と働きを明らかにしてきた。特に、異なる免疫細胞が局在する組織区画ごとに性質の違ったストローマ細胞が存在し、免疫細胞の活動を支援していることを示しており、これらの成果は免疫システムにおけるストローマ細胞の重要性が広く認識される契機となっている。しかし、ストローマ細胞の意外な役割や新たなストローマ細胞集団が最近になっても報告されており、いまだに不明な点の多い細胞群である。また、この複雑な組織環境の中でさまざまな免疫細胞がダイナミックに移動しながら相互作用を行っていることが明らかになっている。今後、こうしたストローマ細胞の機能や免疫細胞動態の観点から免疫器官、さらには免疫システム全体を理解し、さまざまな免疫関連疾患の克服に向けた取り組みを進めていく必要がある。詳しくは免疫・医動物学分野のホームページを参照

www.med.niigata-u.ac.jp/zoo/)。

[写真など]