研究テーマ - 心血管カテーテル治療研究グループ
研究について
我々のチームでは冠動脈疾患や末梢動脈疾患、構造的心疾患(Structural heart disease)に対するカテーテル治療に力を入れておりますが、一方で通常の医療レベルでは越えられない壁もあり、問題解決すべくいくつかの臨床研究を行っております。
血管内視鏡を用いた血管内病変の観察研究
今まで我々は血管内の病変を透視と呼ばれるX線を用いた「影絵」でしか評価できていませんでした。そこに血管内イメージング(血管内超音波、光干渉断層法評価)を用いることによりそこにどのような病変があるのか、過去の病理報告を併せて推察することが可能になりました。しかし実際の生体内での、病変がどのような形か、色はどうかといった情報は未だ明らかになっていません。当科では血管内視鏡を用いた血管内病変の観察を精力的に行っており過去に多くの知見を報告しています。下記に一例を提示します。
血管内視鏡1
- 図1. 第一世代薬剤溶出性ステント留置後に遅発性ステント血栓症を来たした一例
Sakai R, Ozaki K, Kubota N et, al. Angioscopic findings of a first-generation drug-eluting stent occurring very late stent thrombosis 13 years after implantation. Cardiovasc Interv Ther. 2021. Online ahead of Print.
13年前のステントに未だ内膜が被覆せず炎症や血栓が残存していることを明らかにしました。
血管内視鏡2
- 図2. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の下肢静脈において肺動脈と同様web状の器質化血栓を認めた一例
Kubota N, Ozaki K, Hakamata T , et al. Angioscopic findings of organized thrombosis of iliac vein in patient with chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Cardiovasc Interv Ther. 2020. Online ahead of print.
慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の下肢静脈内に肺動脈内の器質化血栓と同様の変化を認めることを世界で初めて明らかにしました。
その他現在当グループで行われている臨床研究は以下の通りです。
- 僧帽弁形成術に対する術中三次元経食道心エコー図を用いた残存逆流の評価に関する検討
- 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する肺動脈バルーン形成術の有効性と安全性に関する多施設レジストリー研究
- 日本心血管インターベンション治療学会内登録データを用いた統合的解析
- 経皮的僧帽弁接合不全修復システムを用いた僧帽弁閉鎖不全に対する治療介入の有効性と安全性に関する多施設レジストリー研究
- 下大静脈フィルター長期留置患者の予後を調査するための後ろ向き観察研究
- 経皮的冠動脈形成術を施行された患者の虚血・出血イベント発生予測因子の後方視的研究
- 大動脈弁硬化症に関連する臨床的因子を調査するための後ろ向き観察研究
- 補助循環用ポンプカテーテルに関するレジストリー事業