研究テーマ - 心不全研究グループ
新潟市の7つの病院の心エコーデータを用いて、高齢の左室収縮不全の患者さんが、どのような背景でADLが損なわれて介護保険申請に至るかを調べています。薬の飲みすぎの弊害など新しい切り口でも解析しており、心不全患者さんの健康長寿をどのようにして実現できるかを探索する研究です。
(担当:加瀬・藤木)
がん生存者が増える中、抗がん剤治療の影響で心不全を発症する患者さんがいます。抗がん剤の進歩や使用容量の適正化、心不全の早期発見や治療介入により、生存率向上につながっているかを調べています。腫瘍循環器病学という新たな分野の研究です。
(担当:久保田、藤木)
心臓サルコイドーシスではステロイドホルモンによる治療が行われますが、無効なために心機能低下や致死性不整脈をきたすことがあります。診断に有用なFDG-PETを早期に行うことで治療効果を判断できるか調べています。治療の適正化につなげる研究です。
(担当:石塚)
拡張型心筋症では左心室(左室)が拡大して動かなくなり、これをリモデリングと言います。治療により左室が小さくなって動きが改善することをリバースリモデリングと呼び、生命予後が改善します。左室リバースリモデリングが起きるかどうかを心筋生検の組織像をAIで解析しています。病態解明ばかりでなく、突然死予防、心臓移植登録や補助人工心臓治療の時期適正化につながる研究です。
(担当:酒井)
心不全で左心室の収縮機能が高度に低下すると、心拍の間隔が一定でも拍出が安定せず、強脈と弱脈を一拍毎に繰り返す現象(交互脈)がみられます。組織還流が低下している指標とされ、予後不良を示唆すると言われることが多いなか、その臨床的意義、とくに左室リバースリモデリングとの関係を調べています。
(担当:渡辺)
心不全では、心臓の動き以上に、体の動きが長生きできるかどうかと関連します。また、高齢心不全患者さんが増えるなか、生活の質を左右するのはどれだけ動けるか(運動耐容能)です。ペースメーカーや埋込型除細動器の患者さんにご協力いただき、日常生活の活動度と、運動耐容能と関連するかどうかを調べています。健康長寿のための生活指導につながる研究です。
(担当:高山)
心筋症は、家族内発症がみられることがあり、心臓に関連する遺伝子に変異があることがあります。遺伝子異常は多岐にわたりますが、国際的に診断技術が向上して多くの遺伝子を一度に解析できるようになってきました。当科では東京大学循環器内科の研究に協力するかたちで遺伝子検査を行い、疾患の原因を追究しています。新たな治療に結びつく可能性のある研究です。
(担当:酒井)
※猪又教授を迎え、これまで行ってきた研究を練り直し、しっかりと論文にするよう検討を重ねています。