循環器グループ

診療について

新潟大学医歯学総合病院では1年間で入院患者数は約250人、外来患者は述べ2500~2600人、心臓カテーテル検査数160~170件、カテーテル治療件数約30件、心エコー数約2500件、胎児エコー数50例程度の診療を行っており、いずれも年々増加傾向にあります。

先天性心疾患

周産母子医療センター、心臓血管外科、集中治療部など、各部門との連携

胎児エコーから始まる、患児への介入によって、新潟県でも先天性心疾患患者の治療成績は大きく向上し、左心低形成症候群などの重症心疾患児が乳児期早期の侵襲の高い外科治療、内科治療を乗り越えるようになりました。それにともない、右肩上がりの小児心疾患手術件数、カテーテル件数に対応すべく、周産母子医療センター(NICU)、心臓血管外科、集中治療部(ICU)をはじめ、様々な部門と連携しながら日常診療を行っています。

成人先天性心疾患外来の開設

これまで救命できなかったこどもたちが手術を乗り越え、学童・成人に達するようになり、成人期に達した先天性心疾患患者が増加しています。そうした患者が学童期、青年期を健全に発育し、社会生活を過ごしていていくために、心臓血管外科、循環器内科とともに「成人先天性心疾患チーム」として、2019年度より専門外来を開始したほか、カンファレンスやカテーテルインターベンションもともに行っています。

心房中隔欠損のカテーテル閉鎖術(ASO)の開始

心房中隔欠損のカテーテル閉鎖術(ASO)が北陸・東北で最初に新潟に導入されてから10年、2019年度よりASOが新潟大学で行われています。県内循環器内科からの紹介も多く、循環器内科とともに治療に当たることもあります。2020年度からはハイブリッド手術室の開設にともない、ASOのみならず、これまではできなかった難易度の高いカテーテル治療も心臓血管外科、麻酔科と共同して治療を行うことができるようになります。カテーテル治療として従来から行っている弁狭窄、動脈の狭窄などに対するバルーン拡大術やステント留置術、動脈管開存や側副血行路に対するコイル塞栓術も多数行っています。

川崎病

新潟県では300人/年前後の川崎病発症数があり、全国でも罹患率の高い県です。重症例の治療と後遺症例の管理は重要な問題となってきています。新潟大学では、新規治療薬の治験研究に参加しているほか、今後は後遺症例の石灰化について日米バイオマーカー比較研究も開始する予定です。

遺伝性不整脈

学校検診などの発展により、遺伝性不整脈は「先天遺伝性」であり、小児期に発見されて治療と管理が開始される疾患になりました。心筋イオンチャネルの遺伝子解析や機能解析などの進歩により致死性不整脈の機序や有効な治療が解明されつつあり、変異遺伝子や機能ごとのテイラーメード治療が可能になりつつあります。

肺高血圧症・心筋症

肺動脈性肺高血圧(原発性肺高血圧)、拡張型心筋症、拘束型心筋症など致死的と考えられてきた疾患に対して、PGI2製剤、エンドセリン受容体拮抗薬などの新しい薬剤、移植医療(心移植、肺移植)、人工心臓、再生医療など、確実に進歩してきています。肺高血圧ではエポプロステノールの在宅持続静脈注療法の導入、管理も行っています。心筋症など重度慢性心不全患者に対しての管理を行っているほか、移植実施施設との連携をとりながら、移植後患者や待機患者の管理を行っています。

循環器グループの一週間

 
午前 外来
心エコー
シンチグラム
トレッドミル
胎児心エコー
外来
心エコー
シンチグラム 外来
心エコー
午後 心臓カテーテル
(1,3週)
心臓カテーテル 心臓カテーテル
(2,4週)
心臓MRI 心臓カテーテル
心臓MRI

研究について

現在行っている研究は、

  1. 川崎病後遺症例の冠動脈石灰化バイオマーカー研究
  2. 遺伝性不整脈の遺伝子解析およびイオンチャネルの機能解析研究

などがあります。また、グループメンバーの一人は国内施設に留学して培養心筋細胞を用いた生理機能評価の研究も行っています。

サブスペシャリティ研修について

小児循環器医として必要な知識技術を習得

小児循環器医に必要なスキルは、小児心疾患の理解のみならず、エコー検査の技術をはじめとした各種生理機能検査の習得、カテーテル検査や治療の習得、新生児の特性や血行動態の理解、心臓血管外科手術の理解、術前術後の集中治療管理など多岐におよびます。現在のメンバーの殆どが大学だけでなく、国内の主要施設での研修でもこれらの知識技術を培ってきました。

小児循環器専門医の取得

小児循環器専門医の取得には専門施設での5年間の研修が必要です。その5年間には国内留学での研修期間も算定可能です。現在まで、国立循環器病研究センター、榊原記念病院、兵庫県立こども病院にてメンバーが臨床研修を行ってきました。希望があればその他の国内主要施設での研修も可能ですし、逆に新潟大学を中心とした小児循環器修練施設群の病院での研修を行い、小児循環器専門医を取得することも可能です。

グループメンバー

  • 沼野藤人(助教 平成10年 新潟大学卒)
    所属学会・資格:日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医、日本成人先天性心疾患学会、日本川崎病学会、日本先天性心疾患インターベンショナルカテーテル学会、PALSインストラクター
    「川崎病外来のほか、先天性心疾患、成人先天性心疾患を担当しています。」
  • 阿部忠朗(特任助教 平成13年 金沢大学卒)
    所属学会・資格:日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会専門医、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本先天性心疾患インターベンショナルカテーテル学会、日本成人先天性心疾患学会、日本胎児心臓病学会、日本川崎病学会、日本小児循環器集中治療研究会
    「先天性心疾患に対するカテ治療全般を専門にしています。」
  • 小澤淳一(平成17年 自治医科大学卒)
    所属学会・資格:日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会、日本小児心電学会、日本循環器学会、日本不整脈学会、日本人類遺伝学会
    「遺伝性不整脈の診療を担当しています。」
  • 塚田正範(平成18年 新潟大学卒)
    所属学会・資格:日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会、日本先天性心疾患インターベンショナルカテーテル学会、成人先天性心疾患学会、日本心エコー図学会
    「小児循環器、カテーテル治療、経食道心エコーを専門としています。こどもとご家族のために頑張ります。」
  • 額賀俊介(平成21年 秋田大卒)
    所属学会・資格:日本小児科学会専門医、日本小児循環器学会、日本先天性心疾患インターベンショナルカテーテル学会、小児心電学会、日本小児循環器集中治療研究会
    「心臓病のこどもと家族に寄り添った診療を心がけています。」

その他にも、新潟市民病院、長岡赤十字病院で心臓カテーテル検査を行っています。また、魚沼基幹病院、立川綜合病院、県立新発田病院、鶴岡市立荘内病院、済生会新潟病院、県立中央病院、水原郷病院などでも循環器グループのメンバーが心臓外来や学校心臓病検診などで専門性を発揮しています。

外部リンク

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