感染症グループ

診療について

2017年度から日本小児感染症学会が認定する小児感染症の専門医制度が始まり、新潟県内では大学病院と新潟市民病院の2施設でのプログラムが始動しました。この2施設および関連施設において、小児感染症症例の診療についてのコンサルテーション業務を行っています。2025年度は547件(大学病院259件、新潟市民病院201件、関連病院87件、PCRを除く)のコンサルテーションがありました。

2025年度の相談例:百日咳、乳突蜂巣炎、咽後膿瘍、扁桃周囲膿瘍、レミエール症候群、膿胸(大腸菌, Enterobacter cloacae)、腎盂腎炎、腹腔内膿瘍(Enterococcus gallinarum、Candida parapsilosis)、偽膜性腸炎、急性骨髄炎、化膿性筋炎、術後縦隔炎(MRSA)、化膿性鼠径リンパ節炎、免疫不全者の水痘、発熱性好中球減少症、細菌性髄膜炎(肺炎球菌)、敗血症性ショック(緑膿菌)、エンテロウイルス感染症、パレコウイルス感染症、伝染性紅斑、先天性トキソプラズマ症、先天性サイトメガロウイルス感染症、先天梅毒、中心静脈カテーテル関連血流感染症(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)、Ramsay Hunt症候群、狂犬病曝露後予防など。

研究について

リアルタイムPCRを用いた微生物迅速診断

小児の重症感染症(敗血症、髄膜炎、呼吸器感染症など)の多くは、細菌感染症ですが、新生児、早期乳児、免疫不全患者では、ウイルスによる重症感染症が知られています。これらの感染症に対して、real-time PCRを用い、約20種類以上のウイルスに対する迅速診断を行っています。検体は、県内外の医療機関から送付され、通常、検体受付後48時間以内に検体結果を返却、実際の臨床の現場にその結果を還元しています。また、新規ウイルスに対するreal-time PCRを用いたアッセイの開発も行っています。

新生児、早期乳児におけるパレコウイルスA3感染症の病態解明

パレコウイルスA3は新生児、早期乳児に敗血症や髄膜脳炎をきたすことが知られていますが、そのメカニズムは解明されていません。受容体の同定、宿主の自然免疫応答などを調査し、その病態のメカニズムを解明しています。(新潟大学ウイルス学分野 阿部隆之先生、新潟大学医学部保健学科 渡邉香奈子先生との共同研究)

国内におけるパレコウイルスA3の前方視的疫学研究

国内では国立感染症研究所からパレコウイルスA3の検出数が公開されていますが、これは基幹定点施設からの届け出を基に作成されており、必ずしも実態を反映していません。国内11か所、12の小児科専門医療施設において、前方視的にパレコウイルスA3の流行をとらえ、その疫学を明らかにして、診療の参考になる有益な疫学情報を提供するプラットフォームの確立を目指しています。https://www.med.niigata-u.ac.jp/ped/parechovirus/

下水サーベイランスによる小児感染症の流行予測

COVID-19流行を契機として、下水サーベイランスによる流行予測が近年注目されています。小児疾患の多くは感染症によるものであり、流行を早期に把握することで、適切な検査・診断、治療、さらには感染対策につなげることが可能となります。当教室では、小児感染症の主要な病原体(パレコウイルス、エンテロウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、ヒトメタニューモウイルスや百日咳菌など)を対象に、新潟市内2か所の下水処理場と連携し下水中のウイルス量を測定し、下水サーベイランスを実施、市内の病院およびクリニックと協力し疫学調査を行い、下水データによる流行予測の可能性について検討しています。これまでの研究から、その有用性を示すデータが蓄積されています。(東京大学 大学院工学系研究科附属水環境工学研究センター 国際下水疫学講座 北島 正章先生との共同研究)

アジア諸国との国際共同研究

ミャンマーにおける小児急性髄膜脳炎の病原体調査

日本医療研究開発機構(AMED)の感染症国際研究拠点連携プログラム(J-GRID+)の中で、ミャンマーにおける小児急性髄膜脳炎の研究を行っています。(ヤンゴン小児病院、ヤンゴン第一医科大学、新潟大学ミャンマー感染症研究拠点・国際保健学分野 齋藤玲子先生との共同研究)

インドネシアにおける先天性サイトメガロウイルス感染症に関する研究

日本医療研究開発機構(AMED)の感染症国際研究拠点連携プログラム(J-GRID+)の中で、現地で妊娠可能な女性からの血液検体と生直後の新生児の尿検体を採取し、インドネシアにおける先天性サイトメガロウイルス感染症に関する研究を行っています。(インドネシア ハサヌディン大学、神戸大学ウイルス学森康子先生との共同研究)

全国における疾病サーベイランスへの参加

細菌性髄膜炎および全身性細菌感染症、百日咳、腸重積サーベイランスの多施設共同研究に参加しています。(AMED研究班 菅秀先生)

サブスペシャリティ研修について

感染症コンサルテーションを通して若手小児科医に対して感染症診療の教育活動を行っています。2017年度から、日本小児感染症学会の専門医研修施設として認定され、小児感染症教育としての役割は増していくものと予想されます。現在、週に1回、大学病院と新潟市民病院間でインターネットによるカンファレンスにより、相互の症例についてのディスカッションを行っています。また、研究面では、医学生(3年生)の医学研究実習を積極的に受け入れ、毎年学生の研究面でのサポートを行っています。また、教室に入り5年以内の若手小児科医を対象として年4回開催されるBasic Core Lectureの事務局を担当しています。

グループメンバー

  • 齋藤昭彦(新潟大学 教授、日本感染症学会感染症専門医・指導医、小児感染症認定暫定指導医(専門医))
  • 相澤悠太(新潟大学 助教、University of Zürich、日本感染症学会感染症専門医、小児感染症認定指導医(専門医))
  • 羽深理恵(新潟大学 特任助教、小児感染症認定指導医(専門医))
  • 山中崇之(新潟市民病院 小児科、日本感染症学会感染症専門医、小児感染症認定指導医(専門医))
  • 佐藤聖子(荘内病院 小児科、小児感染症認定医)
  • 泉田亮平(新発田病院 小児科)
  • 幾瀨樹(東京都立小児総合医療センター 感染症科)
  • 太刀川潤(新潟市民病院/新潟大学 小児科)
  • 唐橋裕輔(新潟大学 大学院生)
  • Nur Irma(新潟大学 大学院生)
  • 齋藤裕子(新潟大学 技師)
  • 鈴木優子(新潟大学 技師)

外部リンク

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