新生児グループ
診療について
当院の総合周産期母子医療センターには、重篤な妊産婦を対象とした母体胎児集中治療室(MFICU6床)、集中治療を要する児を対象とした新生児集中治療室(NICU9床、GCU12床)が併設されています。県内の総合周産期母子医療センター(新潟市民病院、長岡赤十字病院)、地域周産期母子医療センター(新潟県立新発田病院、済生会新潟第二病院、長岡中央綜合病院、魚沼基幹病院、新潟県立中央病院)、さらには、山形県鶴岡市立荘内病院など、他の周産期センターと連携を取りながら、患児や家族のケアを行っています。各周産期センターは、それぞれの医療圏で、産科、小児科と連携して新生児医療を支えています。これらの周産期センターには指導医が揃っており、県内での研修でも、新生児科医としての専門的知識、技能を十分に身に着けることができます。
一般的なNICUでは、様々な理由で早く生まれた早産児や小さく生まれた低出生体重児が、入院患児の大半を占めます。一方で当院のNICUは、様々な合併症を抱えた児の入院が多いという特徴があります。近年、胎児超音波診断や母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)などの診断技術が向上し、胎児期に心臓の構造異常などの疾患や染色体異常が診断される例が少なくありません。本県では一部医療の集約化が進んでおり、複雑心奇形などの先天性心疾患の児や脊髄髄膜瘤など脳外科疾患の児、重篤な横隔膜ヘルニアなど小児外科疾患の児、血液浄化療法を要する児などは、当院へ紹介されてきます。実際に、近年の当院NICU入院症例の内訳を見ると、約20%は先天性心疾患の児で、他の合併症も含めると全入院症例の約30-40%は、何らかの合併症を有する児が占めています。各診療分野の専門家が多く集まる大学病院の特徴を生かして、各専門科と連携しながら診療に当たっています。南北に長く、佐渡島や粟島などの離島を有する本県の地理的特性のために、ドクターヘリによる新生児搬送も積極的に行っています。
近年、医療の進歩に伴い、様々な医療的ケアを行いながら、自宅へ帰る児が増えてきています。NICU入院児支援コーディネーターが中心となって、各医療機関や訪問看護ステーション、行政、地域の保健師などと連携して、退院前から退院後まで切れ目なく、児やご家族の支援を継続しています。また、新潟県と協力して、退院支援や在宅での医療ケアなどに関する研修会を定期的に開催しています。
周産期医療の現場や児の発達支援において、心理的サポートの充実が求められています。当院では、臨床心理士二人体制で、産科病棟やNICUでの妊婦さんやご家族の心理的サポート、小児科病棟で患児やご家族をサポートしています。また、NICU退院後の児を中心に、様々な発達検査を行っています。
研究について
日々の臨床が中心の新生児グループですが、教育や研究にも積極的に取り組んでいます。年に数回、リサーチミーティングを開催し、研究の立案から日頃の診療の疑問点までざっくばらんに話し合っています。その後はさらに懇親会で議論を深めています。希望者は大学院へ進学し、臨床を継続しながらの学位取得も可能です。(大学院生:庄司圭介、星名潤、楡井淳)
研究テーマ
- 小林玲:慢性炎症のコントロール(子宮内炎症、腸内細菌叢、慢性肺疾患)
- 金子孝之:DOHaD(極低出生体重児の尿中ステロイド分析、腎機能評価と予後)
- 齋藤朋子:Family Centered Care
- 庄司圭介:早産児の胎盤細菌叢と腸内細菌叢の関連
- 星名潤:早産児の気道疾患の疫学調査
- 楡井淳:子宮内炎症とサイトカインの関連
研究について
サブスペシャリティ研修について
当院は、日本周産期・新生児医学会の周産期専門医の研修施設として認定されています。小児科専門医を取得後、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターで計3年間の研修を経て、周産期専門医(新生児)を取得しています。
また、当院は、日本周産期・新生児医学会の新生児蘇生法普及事業(NCPR)の新潟トレーニングサイトに認定されています。各医師がインストラクターとして、県内外で新生児蘇生法講習会を開催し、NCPRの普及に力を入れております。当院で研修していただく先生方には、NCPRインストラクターを取得していただくことが可能です。NCPRの理念である「すべての分娩に新生児蘇生法を習得した医療スタッフが、新生児の担当者として立ち会うことができる体制」の確立に向けて、さらにNCPRの普及に取り組んでいきたいと考えています。
新生児科医は、集中治療に関わるために忙しく拘束時間も長いと思われがちですが、チーム医療を重視した“働き方改革”を進め、オンオフを大切にしています。若手から中堅まで、和気あいあいとした雰囲気で、目の前の赤ちゃんとご家族と真剣に向き合って診療や研究を行っています。
臨床経験のスキルアップだけではなく、専門的な知識や技能の獲得、臨床研究などを目的として、専門施設への留学も行っています。
最近の国内留学実績
- 東京女子医科大学東医療センター(篠原健)
- 昭和大学(桑原春洋)
- 福島県立医科大学(鈴木亮)
- 京都大学(下妻大毅)
グループメンバー
- 小林玲(講師)
- 庄司圭介(助教)
- 楡井淳(特任助教)
- 林雅子(病院専任助教)
- 田中雅人(病院専任助教)
- 小野壮登(病院専任助教)
- 星名潤(嘱託)
最新のグループ情報
© 新潟大学医学部小児科学教室