子育て支援

「小児科に興味はあるけど、仕事と育児の両立が心配・・・」という方もいるかもしれません。
新潟大学小児科学教室には、子育て支援制度を利用しながら、育児と仕事を両立させて働いている先生がたくさんいます。

子育て支援制度とは

就学前の子供がいる教室員が利用できる制度。個々の事情に合わせて、時短勤務や当直・拘束番の免除などフレキシブルな勤務が可能です。
新潟大学小児科学教室では、育児と仕事との両立や子育てをしながらでも専門医の取得、さらに、臨床面・研究面からサブスぺシャリティーを極めるなど、キャリアを積むことを応援しています!

子育て支援制度についてのアンケート結果

令和3年度に子育て支援制度のよりよい運営のため、教室員にアンケートを実施しました。利用する立場も、受け入れる立場も、どの教室員にとってもよい制度になるように尽力していきます。

↓より詳しいアンケート結果はこちらからもご覧いただけます

支援制度を受け入れている病院に聞きました!

新潟大学小児科学教室関連施設から、支援制度の受け入れについて聞いてみました。どのような働き方が可能でしょうか?

今後の支援枠医師の受け入れ

※大学病院、連携/関連施設の26施設の回答

支援枠医師が可能な勤務体制

※現在支援枠医師を受け入れている全9施設の回答

多くの施設で支援制度に関して前向きな回答を得られました。
施設により可能な勤務体制は様々ですが、多様な働き方が可能です。

支援制度を利用して勤務中の16名に聞きました!

現在の勤務形態

支援制度を利用している先生は、日当直・拘束番を免除してもらいながら働いている先生が多いようです。
それぞれの状況に応じて、時短勤務や外来勤務のみなど、フレキシブルな形態で勤務を続けていらっしゃいました。

現在の勤務状況への満足度

多くの先生方が、支援制度への満足度は高かったです!
「小児科」という子どもを相手にする仕事柄もあり、子育て医師への周囲の先生の理解が厚い、という意見が多かったです。
一方で、仕事の制限や、周囲への申し訳なさに悩んでいる声もありました。

実際の声として、
・周囲の先生の人柄が良い、理解が厚い
・専門を活かせている、勉強できている
・パートで働かざるをえない、経済的不安
などがありました。

支援制度について教室員に聞きました!

支援枠医師は本制度への満足度が高い一方で、周囲への申し訳なさについての声が多く聞かれました。
それでは、実際常勤医師は本制度についてどのように思っているのでしょうか?
※対象者136名中83名(61%)から回答

子育て支援制度についての考え

勤務先病院への支援医師の受け入れ

多くの先生が、支援制度について好意的な意見でした。

実際の声として、
・日勤帯の勤務だけでも助かる
・支援枠期間でも能力向上に努め、キャリアを途切れさせずに活躍して欲しい
・子育ての経験を仕事にも役立てて欲しい
・子育てが落ち着いたら、当直業務などを含めた仕事に戻って欲しい
などがありました。

常勤医師からも支援制度・支援医師に対して好意的な意見が多く聞かれました。支援医師だけでなく、常勤医師の環境の改善や体制作りにより、教室員みなが働きやすい職場を作ることを目指しています。

子育て医師に聞いてみた!

子育て支援制度を利用しながら働いているママさん医師に、実際の生活についてインタビューしてみました!

中山有美先生卒後10年目 三次救急医療機関に勤務中
家族構成:夫、4歳

現在の勤務体制は?

・初診外来がある日(週2日):1日7時間(9-17時)
・初診外来がない日(週3日):1日6時間(10-17時)  の時短勤務
夜間・休日の拘束は基本ありませんが、調整がつかないときに年1-2回ほどやることもあります。

現在の主な仕事内容は?

週に2日初診外来、週に1日再診外来の他は当番に応じて日中の救急対応、乳児検診(院内と市の集団検診)、予防接種などを行っています。入院患者は必要に応じて他の医師にバックアップに入ってもらっています。夜間や休日は基本当番医師に申し送りますが、子供をお願いできる時は症例によっては自分で休日回診をしたり残って診療することもあります(たまにですが)。

1日のながれ

急に子供が体調不良・・・どうしてる?

初日はお休みさせてもらうことが多いです。翌日以降は子供の体調と自分のスケジュールに応じて病児保育を検討します。

家庭との両立のコツは?

両立できていると胸を張っては言えませんが…。家庭では便利家電(食洗機、ドラム式洗濯機は手放せません、ホットクックも便利です)と宅配サービス(コープのミールキットや野菜などの冷凍製品は平日の調理にとても便利です、買い物の時間も省略できます)を駆使して家事の時短に励んでいます。
仕事では子供の体調不良などで急にお休みさせてもらうことも多いので、代診していただく先生をなるべく困らせないように担当患者さんのカルテはなるべく丁寧に書いておくことを心がけています。
あとは何といっても職場の皆さんのご理解ご協力をいただけていることでしょうか。これがなければやっていけないと思います。急な欠勤や3次病院にいて夜間休日拘束を基本免除してもらっていることに恐縮しきりですが、受け入れて下さり本当に感謝しています。

支援枠を希望する医師への一言お願いします!

今まで2病院で支援枠を利用させてもらい勤務してきました。仕事と家庭の両立は時間的にも思考的にも苦慮することも多いですが、どの職場の皆さんも温かく見守ってくれます。自分のペースを築きながら働いていきましょう。

相馬規子先生卒後10年目 二次救急医療機関に勤務中
家族構成:夫、3歳、第2子妊娠中

現在の勤務体制は?

1日8.5時間×週5日の常勤勤務 日当直・拘束番なし

現在の主な仕事内容は?

基本的に午前は一般外来、午後は曜日に応じて予防接種や乳児健診と予約の患者さんの診察をしています。午前の一般外来については、風邪などの軽症の患者さんが多いです。外来番でないときは、入院中の患者さんの診察や指示出しなどをしています。
アレルギー診療に力をいれている病院のため、食物経口負荷試験や皮膚プリックテストなどの検査を行うことがあります。

1日のながれ

急に子供が体調不良・・・どうしてる?

現在勤務している病院では、保育園からのお迎えの電話はまだありませんが、以前勤務していた病院では、上司に事情を説明し、早退させて頂いていました。また、発熱の翌日は祖母に預けたり、病児保育を利用することもありました。子供のことではないですが、現在、妊娠中のため、健診時には半日お休みを頂いています。上司の先生は、いつも休みを快諾して下さり、感謝しています。

家庭との両立のコツは?

家中がおもちゃで散乱していても、食事が冷凍食品や毎回同じような料理になっても、「まぁいいか」と思うようにして、家事よりも子供と過ごす時間を増やし、仕事への活力にしています。
家事・育児は夫婦で協力し合っていて、夫にも積極的に家事・育児をしてもらい、自分の負担を減らしています。

支援枠を希望する医師への一言お願いします!

子育てをするようになってから、自分の過去の診療や保護者への対応に後悔したことがいくつもありました。小児科医は育児が仕事に役立ちます!確かに、仕事との両立やキャリアについて悩むこともあるかもしれませんが(私は今も悩んでいます…)、そんなときは、恥ずかしいなとか、自分はダメだな、などと思わず、周囲に相談しながら、焦らないで悩みを少しずつ解決していきましょう。

子育て医師のキャリア実例

教室には子育てをしながら、研究を継続していたり、サブスぺシャリティーの資格を取得したり、論文の執筆も積極的にしているママさん医師もいます!

羽深理恵先生卒後15年目 小児感染症専門医研修プログラムで研修中
家族構成:夫、12歳、4歳、2歳

  • 2008年

    大学卒業、臨床研修開始

    もともと小児科志望であり、小児科研修がんばりました! 

  • 2010年

    3月 初期研修修了、第1子を出産し、半年間の育休。

    初めての自分の子にメロメロ&ヘロヘロ

    10月 小児科後期研修を開始!

    支援制度を利用して復帰。
    時間の制限がある中、子育てをしながら奮闘。
    周りのサポートでなんとか働くことができました。

  • 2012年

    子どもが2歳になり、当直を月1だけ復帰

    夫の育児スキルアップ!一緒に働いた先生の影響で、小児感染症を学ぶことを考える。また、この年に小児科学会誌に初めて症例報告を投稿。自分の執筆したものが形になり、嬉しかったです。

  • 2013年

    夫の海外留学に伴い、家族でスウェーデンへ移住。

    ノーベル賞で有名なカロリンスカ研究所で、研究に触れる。
    言葉も文化も違う国での生活は、貴重な体験に。スウェーデンでは、夏休みを長期にとり、デジタルフリーで自然の中で家族と過ごすサマーハウスの文化があり、感銘を受ける。

  • 2015年

    帰国

    小児感染症の勉強のため、大学院に入り本格的に研究スタート。

  • 2016年

    専門医取得

    同期よりだいぶ遅れたけど無事に取得できました!

  • 2017年

    2019年

    研究をしながら、第2子、第3子出産。

    研究はうまくいかないことが多く、くじけそうになったけれど、周りの先生方の熱心な指導のおかげで、英語論文執筆。第3子育休中、上の子たちが学校・保育園のときや、夫が子どもと遊びにいってくれるときを利用して、卒業論文完成!先生方のご指導と、夫の協力には本当に感謝。

現在のサブスペシャリティを決めたきっかけ、経緯を教えてください。

夫のスウェーデン短期留学についていくと決めたとき、齋藤教授に相談して小児感染症の研究について教えていただいたことがきっかけだったと、今振り返ると思います。
小児科診療では感染症はcommonであり、誰でも関わる分野ですが、一筋縄でいかないときに専門医が関わることで診断がついたり、経過がよくなったりすることがあります。感染症はすべての臓器を対象としており、幅広い知識が必要ですが、とてもやりがいのある、興味深い分野だと思っています。

今興味があること・研究中のこと、これからやりたいことを教えてください。

大学院での研究では、いろいろな研究手技を学びましたが、最終的に新生児や早期乳児に敗血症をきたすヒトパレコウイルスとエンテロウイルスの免疫応答の違いについて論文にしました。今は、SARS-CoV2感染症が小児で重症化しにくい因子、重症化に寄与する宿主免疫応答について興味があります。なかなか研究を続けることは時間的に難しいですが…これからは、まずは小児感染症専門医取得の勉強をがんばりたいと思っています。

キャリアについて学生さんや子育て中の若手医師へアドバイスをお願いします。

私自身、うまくいっていないこともたくさんあり、葛藤することも多いですが、仕事と家庭の両立は、ゆっくりでも継続することが大切かな、と思います。周りからたくさんのサポートを受けているので、いつか恩返しできるよう、続けていきたいと思っています。
また、自分の状態を把握することも大切です!自分が心身ともにヘトヘトになっていると、家族や仕事にも悪影響を及ぼしかねません…無理なときは潔く白旗を揚げましょう。
キャリアに関しては、情報も必要となってくるので、志が決まったら、上の先生に相談したり、興味ある学会のHPをみたり、大まかに未来設計図を描くといいと思います。もちろん、妊娠や育児は予期せぬことも多いので、柔軟に対応することも大切です。

A先生卒後20年目 神経専門病院に勤務中
家族構成:夫、14歳、9歳

  • 2001年

    大学卒業、関東方面の病院で小児科研修開始。

    日々、目の前のことで精いっぱいでした。

  • 2005年

    新潟大学小児科入局


  • 2007年

    第1子出産

    実家と行き来しながら、のんびりとかけがえのない時間を過ごしました。

  • 2008年

    支援枠制度を利用し西新潟中央病院に勤務

    小児神経を志望していたのでうれしかったです。週24時間の時短勤務から復帰したので、無理のない範囲で仕事ができました。仕事に慣れてきて、少しずつ勤務時間を延ばしました。臨床や学会発表など、たくさんのことを教えていただきました。

  • 2010年

    初めての英語論文執筆。

    自分が経験した症例をもとに乳児期発症の欠神てんかんの症例報告をしました。論文執筆は初めてでなおかつ英語のため、大変時間がかかりました。先生方の手厚いご指導のおかげで完成させることができました。

  • 2012年

    第2子出産
    小児神経専門医取得

    育休を10か月間とらせていただきました。

  • 2013年

    支援枠で職場復帰

    上の子が小学生にあがったこともあり、短時間勤務で助かりました。
    日直を月1回ほどやりはじめました。

  • 2014年

    てんかん専門医取得


  • 2018年

    下の子が小学校にあがるタイミングで支援枠から常勤医になりました。

    当直を月1-2回、拘束番を週2回程度しています。
    当直の時や拘束番で呼び出しのあった場合は夫や上の子に任せています。

  • 2020年

    臨床遺伝専門医取得


  • 2021年

    学位取得

    何度も途中でやめようかと思いました。指導医の先生にも大変ご迷惑をおかけしましたが、5年で何とか取得することができました。

現在のサブスペシャリティを決めたきっかけ、経緯を教えてください。

神経難病や障害のあるお子さんの役に立ちたいと思ったからです。

現在の仕事内容について教えてください。

小児の中でも神経専門の病院で勤務しています。週2日専門外来、それ以外の日は病棟の患者さんを診療しています。重症心身障害児・者病棟があるため、0歳から70歳代までの患者さんを診ています。入院患者さんは基本的に主治医制ですが、外来日は病棟番の先生、夜間休日は拘束番の先生が対応してくれます。

家庭との両立のコツは?

だらだら病院にいないこと。

今興味があること・研究中のこと、これからやりたいことを教えてください。

臨床場面では遺伝学についてもっと勉強して診療に活かしていきたいと思っています。てんかんの研究についても進めていければと思っています。

キャリアについて悩む先生方へアドバイスをお願いします。

自分も日々悩んでいますが、目標をもって地道にやっていくことが大切かと思います。専門医や学位取得については指導医の先生とよく相談することも必要です。
仕事復帰前に子育てと仕事を両立されているある女性の先生に「自分にできることを焦らずやっていくことだよ」と言われ、気が楽になりました。先輩の先生方の後を追って自分もやってこられたと思います。また、当院に来られる若い先生方から教えられることも多く、みなさん忙しい中よくやってくださるのでこちらも励みになります。なかなか思うとおりにできないこともあると思いますが、サポートしてくださる周りの先生方への感謝を忘れず続けていくことが大事だと思います。

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サブスペシャリティ研修(留学)の感想

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