血液・腫瘍グループ

診療について

新潟県全域および山形県沿岸部、福島県会津地方などの近県における小児がん診療、および血液疾患診療は、新潟大学小児科血液腫瘍班と新潟県立がんセンターの2施設に集約化が完了しています。

新潟大学小児科では、脳腫瘍を含む全診療域を網羅しており、日本小児血液・がん学会の専攻領域のすべてを経験できます。当院での小児がん新規患者は年間40名前後となっています。2019年4月より、当院の中央診療部門として「小児がん医療センター」が設置されました。十分な体制づくりの途上にありますが、同年7月からは米国の小児疾患療養の専門家の資格であるチャイルド・ライフ・スペシャリストが赴任し、小児がん診療のさらなる向上が期待されています。

一方、新潟がんセンターは、長い歴史を誇る全国でも有数の施設です。現在は造血器腫瘍を中心に診療しており、急性リンパ性白血病の多施設共同臨床研究への登録数ではベスト10に入ります。

固形腫瘍については、この2施設の小児科医と、新潟大学小児外科、整形外科、脳外科、放射線科医などの診療科と合同で‘新潟Tumor Board’(小児固形腫瘍検討会)を月に1回定期開催し、全症例を対象に治療方針の検討を行っています。さらに、放射線治療が主要テーマの場合などでは成人の専門家も含める‘Cancer Board’で症例の治療方針を討議しています。さらに、造血器腫瘍(+その他の血液疾患と造血幹細胞移植)については、これらと別に新潟小児血液検討会を月に1回定期開催し、全症例を検討しています。

新潟大学医歯学総合病院は血友病診療地域中核病院に認定されており、血友病の診療にも積極的に取り組んでいます。小児血液凝固外来には新潟県全域から30名近くの患者さんが通院しており、整形外科と密接に連携することで血友病性関節症への早期対応に努めています。必要に応じて成人例も診療し、保因者相談も随時行っています。

研究について

白血病や小児がんに対する新たな細胞療法の開発を研究の中心に据えて活動しています。グループを率いる今井は、米国で研究中にCD19に対するキメラ抗原受容体(CAR)を新規開発しました(anti-CD19-BB-z)。この新しいCAR遺伝子を用いて、米国ペンシルバニア大学が臨床開発を行い著明な臨床効果が確認されたため、2017年に米国FDAより本療法が正式認可されました(商品名:キムリア)。

研究室では、CARを用いた遺伝子改変免疫細胞治療の開発の他に、NK細胞を利用した新たな細胞免疫療法についても研究を行っています。現在、NK細胞受容体群のいくつかのレセプターの改変により、新たなCARを開発中(特許申請済み)です。

また、日本小児がん研究グループに所属して、ほとんどの臨床研究に参加しています。それぞれが希少疾患である小児がんの各腫瘍性疾患については、施設毎に治療を開発することは不可能であり、また診療レベルも全国で一定になりません。そのため、全国共同で治療法を改善していくことがきわめて大切です。新潟大グループからは各疾患委員会や専門委員会に委員を送り、活発に研究に参加しています。詳しくは下記外部リンクからご覧ください。

サブスペシャリティ研修について

新潟大学と新潟がんセンターのどちらも、日本血液学会、日本小児血液・がん学会、日本造血細胞移植学会の認定施設となっており、血液専門医、小児血液・がん専門医、造血細胞移植認定医が取得できます。新潟大学にて血液腫瘍の専攻医として修練を行う場合には、この2施設をバランスよく行き来していただきます。3-4年で血液専門医受験資格が得られますので、通常はまず血液専門医を取得し、その後小児血液・がん専門医の取得を目指します。

血液・悪性腫瘍の診療では、研究の進歩がダイレクトに、そしてスピーディに反映されますので、分子生物学や免疫学の基礎知識が必要であり、また研究論文のcritical readingの能力が必要です。臨床能力を高めるためにも、一定の期間の基礎研究の経験を持つことを勧めています。

グループメンバー

新潟大学

  • 今井千速
  • 今村勝
  • 岩渕晴子
  • 阿部咲子
  • 細貝亮介
  • 久保暢大
  • 馬場みのり(大学院生)
  • 川上優吾
  • 田村まどか(child life specialist)
  • 鈴木優子(共同研究員)

新潟県立がんセンター 新潟病院

  • 小川淳
  • 渡辺輝浩
  • 笠原靖史
  • 中野貴明

外部リンク

最新のグループ情報

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